初稿置き場

#夢見る少年と未羽化の蝶
#夢見る少年と未羽化の蝶_二章 6


「どうだった?」
 体験入所の初日。
 夕刻になって解散となった後、ファルはレンと共に街の食堂で夕食をと取っていた。
 選んだ定食を半分ほど食べた頃、投げかけられた問いに、ファルはカトラリーを持つ手を止めた。
「そう、だな……。意外と普通――、平気だった」
 今日はそれほど深い部分に立ち入っていない、というのもあるだろうが、本当に想像していたよりもずっと平気だった。
 素直に感想を告げると、レンはにぱっと笑って、フォークに刺したエビフライを口に入れる。
「そっかそっか、よかった。明日から来ないー、とか言われたらどうしようかと」
 冗談めかして言われた言葉に、ふと笑ってレンに問い返す。
「そういうお前は? 実際行ってみて……、まあ、聞くまでもないか」
 が、彼の顔を見れば一目瞭然だった。
 レンは目を丸くして、自身の顔を両手で挟んだ
「え、そんなに顔に出てる?」
「誰が見ても」
 肩を竦めて呆れたように言うと、レンはテレテレと頬を掻く。
「いや、でもほんと楽しかった! アカデミーの授業じゃ、あそこまで専門的なことは教えてくれねぇし、教授に聞きに行くにも限度があるだろ?」
 レンは食事そっちのけで、昼間のことを思い出してかうっとりと目を閉じる。
「いやぁ、ほんとさぁ……。俺もあの一員になりてぇ~……、ってより思った!」
「ほんと、レンはブレないな」
 出会ったときから、全く変わらない一途さに改めて驚かされる。自分にはそこまで熱量を込めてやりたいと思うことがないから、なおさらだった。
「本当に行ってよかったよ!」
 好きなものに一直線に向かうレンが、とても眩しい。
 いつか自分も、こんな風に思えるものに出逢うのだろうか――。
 その光景が上手く描けずに、ファルはそのもやもやとしたものを飲み下すように、スプーンに乗ったオムライスを飲み込んだ。

2025/09/13 00:00:00

#誓約の姫 オープニング1

//背景:空・昼

マリア「今日もいい天気ね……」

//背景:主人公部屋・昼

ローゼンダルク王国の穏やかな昼下がり。アシュフォード家の令嬢マリアは、秋めいてきた空に目を細めた。

//SE:ノックの音

???「失礼いたします」
マリア「あら、エゼル」
エゼル「紅茶をお持ちいたしました、お嬢様」
マリア「ありがとう。……いつ見ても、綺麗に入れるわね」
エゼル「恐縮です」

マリアは目の前に置かれた湯気を立てるティーカップを持ち上げる。

マリア「ふふ、いい香り。エゼル、あなたも一緒にお茶をしない?」
エゼル「…………いいえ、お嬢様。一介の使用人が主家の令嬢と同じ席につくなど、許されません」
マリア「固いことを言わないで。どうしても駄目かしら?」
エゼル「………………それが、ご命令であれば」
マリア「そういうわけじゃ――」

SE:ノックの音

マリア「は、はいっ!?」
???「お嬢様、少しよろしいでしょうか?」
マリア「その声はオリヴィエ? ええ、どうぞ。どうしたの?」
オリヴィエ「失礼いたします」
マリア「何か…あったの……?」

マリアは、幼少期からの友人でもあるオリヴィエの、珍しい曇り顔に不安を覚える。

オリヴィエ「実は、旦那様が至急お部屋まで来るように、と」
マリア「お父様が……?」

マリア(それだけでこんな顔をするなんて――。どんなご用事なの……?)

マリアは不安が一層増幅するのを感じながらも、父の呼び出しに応えるべく、立ち上がった。

2025/09/12 00:00:00

#夢見る少年と未羽化の蝶
#夢見る少年と未羽化の蝶_二章 5


「初めまして。今回、貴方がたの担当をさせていただく、エルジュと申します」
 受付に指示された部屋で待つこと、暫く。
 その部屋に現れた白衣の男は、そう言ってレンたちに頭を下げた。
 ダークブルーの髪をきちんと撫で付けた、真面目そうな風情の彼は、頭を上げると眼鏡をカチャリと上げた。
 エルジュに促され端から順に、名前と専攻を言うだけの簡単な自己紹介をしていく。
 今回の体験入所の参加者は五人。元からの知り合い同士なのは、レンとファルだけらしい。後の三人は、蝶の民らしき男女が一人ずつと、レンと同じ只人の女が一人。地域的に同じアカデミーの同学年だと思われるが、誰とも面識はなかった。
「ありがとうございます。ではまず、研究所内の案内からはじめましょうか――」
 自己紹介が終わった後は、所内の見学が行われた。
 基本的にはエルジュの後ろをついて歩くだけだ。とはいっても、一般に公開しても問題のない範囲ばかりなのだろう。門前で「アカデミーと大して変わらない」と言ったが、本当にあまり変わらない。
 それでも、蝶の民に関して真剣に議論する所員の姿を垣間見て、レンの心は浮き立っていた。
 一通り案内が終了すると、昼休みを挟み、数日間は講義の予定だ。
 研究へ協力してくれている被験者たちの元への同行も体験の中に含まれているため、心構えなども含めた基礎知識を授けてくれるようだ。
 講義資料を受け取り、レンはわくわくが抑えきれないうきうき顔で、その資料のページを開く。
 これからどんな事を知れるんだろう……!
 そんな興奮の中、体験入所の幕は上がったのだった。

2025/09/11 00:00:00

#夢見る少年と未羽化の蝶
#夢見る少年と未羽化の蝶_二章 4


「はえ~……、思ってたよりでけぇなぁ……」
 あっという間に日々は過ぎて、体験入所の当日。
 レンは辿り着いた建物を見上げて、感嘆の声を上げた。
 隣にいるファルをちらりと見て、その顔が少し青褪めていることに気付く。
「ファル」
「――っ、あ……、なんだ?」
 ビクッと肩を跳ねさせた彼に、レンは苦笑を浮かべた。
 やはり、まだ「蝶の民の研究所」というものに忌避感あるらしい。
 今回レンがファルを誘ったのは、進路に悩んでいるらしい彼の刺激になればと思ったのが一つ。それから、大抵は十代で羽化するはずの蝶の民にもかかわらず、蛹になる気配すらないことに負い目を感じているような気がしていたからだ。何かヒントになれば、と。
 けど、まだ早かったのかなぁ……。
 正直、誘ってはみたものの、本当に付いてくるかは分からない――、むしろ断られる可能性の方が高いと思っていた。
 十歳でここ蝶の国に辿り着くまで、彼がどんな目にあったのか、詳しくは知らない。それでも、その心に刻まれた傷がかなり深いのは、レンにも分かっていたからだ。
 でも――、ここまで来たということは、ファル自身にも何か思うことがあったということだろう。
 だからレンは、その根深いものから来ているであろう怯えには気付かないフリをして、彼の背中をバシッと叩いた。
「なんだよ~、緊張してんの?」
「ち、違うから!」
「だーいじょうぶ、だいじょうぶ。アカデミーと大して変わんねぇって。それに、俺がいるだろ~? あ、手繋いでやろか?」
 にやにやしながら手を差し出すと、多少は緊張が解れたのか顔の強張りが緩んで、差し出した手をバシリと叩かれた。
「いるか。子供じゃないんだから」
「またまた~。遠慮するなって」
「遠慮してない」
 言い返しながら、歩きはじめたファルにレンも遅れまいとついて行く。
 研究所の門を潜り、中へ。
「――ありがとう」
 ぽそりとファルの口から零れた言葉に、レンは笑って、それから素知らぬ顔で返す。
「ん~? なんのことだ?」
 ファルは肩を竦めると、先程レンがしたように背中を叩いてきたのだった。

2025/09/10 00:00:00

#愛する貴方と「番」を解消する方法(仮題)
#愛する貴方と「番」を解消する方法(仮題)_字コンテ 5


 ユリスが意識を失ったのは、そう長い時間ではなかった。
 目が覚めると、身体が清められ、おざなりにシャツとズボンだけ着せられた状態で、ソファに寝かされていた。ルベルトはというと、互いの精液やユリスの愛液で汚れた床を拭いているところだった。
 重だるい身体を引きずるように身を起こすと、ソファの軋む音に気付いたのか、ルベルトが顔を上げた。
「っ、ユリス。身体は大丈夫か?」
「……ええ」
 恥ずかしさといたたまれなさで、彼の顔が見られない。
 本当はまだまだ身体は痛いし、誘発された発情で、身体の芯がじくじくと甘く疼いている。
 だが、それをこの男に告げる気はなかった。
「申し訳ありませんが、今日はもう帰ってもよろしいでしょうか。後、しばらく出仕できないかもしれません」
「え、どうして……」
「……まだ、発情が続いてるので」
 呆然としているルベルトを避けるように、ふらつく身体で立ち上がる。
(緊急用の抑制剤を飲めば、帰るまでくらいは……)
 だが、それを阻むようにルベルトがユリスの手首を掴んだ。
「待て。それなら帰すわけにはいかないだろ」
「…………何故」
 肌に触れるルベルトの指を、身体が喜んでいるのが分かる。だが、ユリスはそれを無視してルベルトを睨んだ。
「な、何故って……。私に『番』の発情を放置しろと?」
 番、という言葉に、子宮が疼いた気がした。
 だが同時に、それがユリスに冷静さを戻してくれる。
 俺は、この人の番にはなれない。
 だからこそ、ユリスはルベルトを馬鹿にするように、冷笑を浮かべた。
「ハッ、『番』? だからなんですか。私は『アルファの男』です。貴方だって、つい先刻までそう信じていたでしょう」
「それは――」
「『アルファの男』は、貴方の番になんかなれません」
 ユリスはルベルトの手を振り払うと、自身の机の引き出しから、液体の入った小瓶を取り出して呷る。
「ユリス、何を……!」
「抑制剤ですよ。なんですか、ここからの道中、ありとあらゆる人間を誘ってまわれとでも?」
「っ――」
 即効性の抑制剤は、身体の熱を多少和らげてくれた。
「……これは事故ですよ、殿下。幸い、時間が経てば番契約は自然消滅しますし、妃がオメガでも問題ないでしょう」
「自然消滅、って……。発情期を三、四回、私無しで乗り切る必要があるのにか……」
「今までだって、独りでしたから。……では、失礼します」
「あっ、ユリス!」
 自身を呼ぶ声を無視して、扉を閉めると、ふらつく身体を叱咤して早足で帰路を辿る。
 普段の帰宅時間よりかなり早いせいか、毎日ユリスを送り迎えしている御者は驚いた顔をしたが、まだ顔が赤らんでいるからなのか、「体調が悪い」と言えばそれ以上に追及してくることもなかった。
 馬車に乗り込み、ユリスはようやくほっと息をつく。
 気が抜けたからなのか、じわりと涙が浮かんで、それを袖で拭った。
「『番』、に……、なってしまった……」
 項を指で辿ると、噛み跡がちりちりと痛んで、その存在を主張してくる。
 ずっと、心のどこかで臨んでいたことだった。
 だが実際、「その時」が訪れてしまった今は、ただただ恐ろしかった。
 これまでの日常が変わってしまう。
 ルベルトは――、「これまで通り」でいてくれるのだろうか。
 自分だって、何も変わらないでいられるはずはない。
 番を得たオメガは、肉体――主にフェロモンに変化が起こる。
 ……きっと、隠し通せはしない。
 ユリスはぎゅっと目を瞑って瞑目した。
「――ああ、そうか。『人を誘って回る』なんて、できないのか」
 番持ちのオメガが発するフェロモンは、番のアルファにしか効かなくなるのだから。
 それでも、ユリスは「このまま」でいたかった。
 変化が怖い。どうせ、「王太子の番」としては不適格なのに。
 関係を続ければいずれ分かることだ。
 そうなった時――、捨てられた時、自分はどう生きていけばいい。
 愛した人も、その隣にいたくて掴んだ立場も、全て消えてなくなった後、どうやって。

2025/09/09 00:00:00

#夢見る少年と未羽化の蝶
#夢見る少年と未羽化の蝶_二章 3


「失礼します」
 ファルはアカデミーにある就職課の部屋から出たところで、知らず溜息が漏れた。
 その手にはレンから勧められた、蝶の民研究所の行う体験入所に関しての詳しい資料だ。参加の手続きを終わらせると、やり取りを代行しているアカデミーの職員から渡されたものだった。
 体験の概要、当日までに用意するもの、集合場所、持ち物――、そういったものが記された書類は妙に重く感じる。
「……レンがいる。大丈夫だ」
 震えそうになる手をぎゅっと握りしめて、もう一度深く息を吐いた。
 この蝶の国へ亡命するまでの間、ファルは両親と共に隣国の違法な研究所にいた。
 自分たちを、「蝶の民」を、実験動物のように扱っていたあの場所とは違う。
 それは分かっているが、ほんの少しの怖さを感じていた。
 それでも、体験に行こうと思ったのは――
「……僕は、」
 レンは初めて会った時から変わらない。自身が違うからこそ「蝶の民」に憧れを抱き、その研究者になるという夢を叶えようとしている。
 けれどファルは、いまだに未来が見えずにいた。
 ファルは己の黒い髪を摘まむ。
 羽化する前の蝶の民に多いその髪色は、子供のまま成長できないでいる自分をこれ以上なく表しているように思えた。
 適齢期を超えても蛹にすらなれない自分は、その心もまだ羽化出来ずにいる。
 これで、何か変わってほしい。
 そんな縋るような気持ちで、これまで目を背けていたものと向き合おうとしていたのだった。

2025/09/07 00:00:00

#夢見る少年と未羽化の蝶
#夢見る少年と未羽化の蝶_二章 2


 十六歳になった国民が入学を義務付けられているアカデミー。
 だが、通学が義務化されているのは二年間の通常課程のみ。多くの学生はそこで学舎を卒業し、家業を継いだり、結婚して婚家に入ったりと別々の人生を歩んでゆく。
 しかしその二年間の後も、一部はアカデミーに残る道を選び、五年間の上級課程に進んでゆく。
 官僚や研究者など、いわゆるエリートコースを歩む者たちがそれだ。
「……うーん」
 レンもそのうちの一人となっていた。
 少し長い金茶の髪を後ろで一つに束ねた頭をガシガシと掻いて、目の前に置いたノートを指でトントンと叩く。
 昼食時を少し過ぎた食堂は、徐々に人もまばらになりつつある。レン自身、食事のためにこの場所へ訪れたはずなのだが、頭の中は講義のことでいっぱいで、傍らにおいたままの定食は湯気が消えて久しい。
「――悪い、待たせた?」
「うん?」
 聞こえた声に顔を上げると、視線の先には短い黒髪をさらりと流して首を傾げるファルがいる。
「あー……、いやぁ」
 彼の姿を見て、そういえば待ち合わせをしていたのだと思い出す。そして、その時間までに平らげてしまおうと思ってすっかり忘れていた昼食も。
 ファルは冷めた定食のプレートとレンの表情を見て、顛末を悟ったらしく肩を竦めて対面に座った。
「とりあえず、食べたら?」
「……そうする」
 レンはノートを脇にのけると、昼食を引き寄せた。
「――で、さっきのは? レポート?」
「そ。ほら、生物学の」
「生物学って……。まだ、出してなかったのか? 締切、明後日だろ?」
「一度書いたんだけど、なんか納得いかなくて」
 もぐもぐと口を動かしつつ答えると、ファルは半目になる。
「意外と真面目なんだよな」
「『意外と』はないだろー?」
 実際、他の友人たちにも「何故か」勉強できるだの、「思ってたより」頭がいいだの、と言われるレンだ。人を見た目で判断しちゃいけません、と真面目くさって言うと、ファルがふはと笑う。
「冗談だよ」
「まったく、お前までそんなこと言うんだから」
 くすくすと笑ったあと、レンはふとあることを思い出して、昼食のフライをかじったまま鞄を探った。
「ほーほー、ほへはんはへど」
「食べてから言ってくれ」
「ん、ごめん。これなんだけどさ」
 レンは取り出した一枚の紙をファルの方に向けて置いた。
 ファルが軽く目を瞠る。
「今度、これに参加しようと思うんだ」
 レンは真剣な目でファルを見つめながら言葉を続ける。
「もしよかったら、一緒に行かない?」
 その紙には「蝶の民研究所 体験入所案内」と書かれていた。

2025/08/31 00:00:00

#愛する貴方と「番」を解消する方法(仮題)
#愛する貴方と「番」を解消する方法(仮題)_字コンテ 4


「あっ、あっ! やあっ……!」
 痛い、痛い、いたい――。
 強く噛まれた項も、初めて開かれた身体も。
 だが、肉体は愛しい男の熱を浅ましくも締め付けて、全身で喜んでいる。
「ユリス……」
 項を擽る吐息に身体が震える。
「も、やだ、ルベルトさま……! ひうっ!」
 噛み跡を舌が這い、それ以上の拒絶を塞ぐように唇を奪われる。
「んっ! んんぅ……、ぁぅ…………」
 気持ちいい、嬉しい、もっと。
 そんな心の声に従順な身体は、ますます熱く、甘くとけていってしまう。
「ユリス、きもちいい?」
「あ……」
 頷きかけて、一欠片だけ残った理性で首を振った。
「……はは、うそつきだな」
「あっ!!」
 ぐんっと奥を突かれて、ユリスの陰茎から蜜が滴り落ちる。
 足ががくがくと震えて、身体を支えていられない。ルベルトがそれを支えて、もう一度キスをしながら、一度屹立を抜いた。
「っん……」
 やだ、抜かないで。
 唇を塞がれていなければ、そう口走ってしまっていただろう。
 だが、ぽっかりと開いた寂しさに、理性が負けてしまう前に、ルベルトがユリスを仰向けに寝かせて、足を開かせる。
「……そう、物欲しそうな顔をしないでくれ」
「っ!?」
 そんな顔してないと反論する前に、後孔に屹立が添えられて――、
「あっ、あぁ……!!」
 また、内部に侵入される。
 欠乏が埋められて、声を抑えられない。ルベルトも限界が近いのか、淫らな水音をさせながら夢中で腰を振っていた。
「あっ、んん、あ、ルベルトさま……」
 名前を呼べば、ぎゅっときつく抱きしめられて、中で彼が果てたのが分かった。
「っ、んんっ……!」
 自身も間を置かずに達してしまう。
「ユリス……」
 深い絶頂に、意識がふわふわとして、次第に沈んでゆく。
「やっと……、手に入れた…………」
 囁かれた言葉の真意を尋ねる間もなく、ユリスは意識を手放した。

2025/08/28 00:00:00

#夢見る少年と未羽化の蝶
#夢見る少年と未羽化の蝶_二章 1


 アカデミーの入学から早六年が過ぎた。
 たくさんいた同級生たちは十八になる年に、通常課程の修了と共に卒業してゆき、賑やかさが鳴りを潜めてゆく。
 一年時から親交の深かった友人とも、それぞれの道を進むことを決めた。
 その日からも既に時が経ち――
「レン。そろそろ行こう、朝食に遅れる」
 その声にハッとして、レンは目を瞬かせた。寮の相部屋から出ていこうとする無二の親友となったファルの後ろ姿を見止める。
「――ああ!」
 アカデミー上級課程に入り五年。
 レンとファルは二十三歳、アカデミーの最終学年に差し掛かっていた。

2025/08/27 00:00:00

作品一覧
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初稿更新終了
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改稿版完結
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