初稿置き場
#誓約の姫
オープニング3
//背景:王宮・廊下・昼
マリア(随分と久し振りに来た気がするわ……)
ロベルトの後を追いながら歩くマリアは、視線だけを動かしながら、周囲を見渡す。幼少期は従兄でもある王太子と遊ぶため、頻繁に訪れていたものだが、ここ数年はさっぱりだった。
ロベルト「おや。ウィルくんじゃないか」
ウィル「これは、ご無沙汰しております。アシュフォード卿。それから、マリア姫も」
マリア「え、えぇ……」
ウィル「本日はどうなさったのですか、卿?」
ロベルト「いや、実は『あの件』が正式に決まったそうでね」
ウィル「!」
マリア(……『あの件』?)
ウィル「……そうでしたか。それは、急ぎ参内されるのも納得です。ですが……」
ウィルがこちらに視線を向ける。
ウィル「それならば、いきなり姫同席の元にお話しなさるのは、些か急が過ぎるのでは? 見たところ、姫にはまだ何も仰っていないようですし」
ロベルト「う、うむ……。たしかに」
ウィル「ひとまず、卿だけでお話なされては? 頃合いを見て、俺が姫をお連れしますよ」
ロベルト「…………」
ウィルの提案に、しばし悩む様子を見せたロベルトだったが、次の瞬間には笑顔で顔を上げた。
ロベルト「そうだな。では、ウィルくんの言う通りにしよう! 君ならば、安心できる」
ロベルト「ではマリア、ウィルく――、おっと……、王宮に仕える騎士殿をいつまでも「くん」呼びするのは失礼だった。アルジェリス卿と後から来なさい」
マリア「あっ、お父様!?」
さっさと立ち去っていったロベルトを、マリアは呆然と見送るしかできなかった。
マリア「…………」
マリア「……それで、どうして父を遠ざけましたの?」
ウィル「ん? 何のことだ?」
先程までとは打って変わり、気安い態度になったウィルに、マリアは肩を竦めた。
マリア「とぼけるなら……、まあいいです」
マリア「貴方とも随分お久し振りですね、ウィル様」
ウィル「まあ、ガキの頃とは違うからな」
マリア「そうですね」
ウィルとは、いわゆる「幼馴染」だ。
とはいっても、狭い貴族社会で年回りの近い、家格も近い子供たちが顔見知りなのは、当然と言えば当然だ。結婚を意識するような年回りに近付くごとに交流は薄くなって、こうして顔を合わせたのは何年ぶりだろう。
マリア「騎士になった、って聞いてましたけど……。こうしてみると、なかなか板についていますね」
ウィル「まぁな。そういうお前も、すっかり『淑女』だな」
ウィル「馬子にも衣装?」
マリア「……バカにしてます?」
ウィル「ハハ、冗談冗談。あんま怒んなよ。かわいい顔が台無しだぜ?」
ぽんぽんと頭に乗せられた手に、ますますムッとする。
マリア「もう、いっつも子ども扱いして……。それより、そろそろ行かなくて良いのですか? 何の話なのかは知りませんが、私にも関係のあるお話なのでしょう? あまり、お待たせしては――」
ウィル「…………」
マリア「な、なんですか……?」
ウィル「……いや、なんでも。そんな時期か、って思ってさ」
マリア「え?」
ウィル「なんでもねーよ。行こうか、マリアの言う通り、あんまり陛下をお待たせするのもな」
マリア「あっ、ま、待ってください……!」
マリア(どういう意味……?)
しかし、ウィルがその疑問に答えてくれることはなく、あっという間に、国王の待つ部屋へと連れていかれたのだった。
2026/02/01 15:00:32
« No.98
No.100 »
作品一覧
改稿版更新中
玉座の憧憬 アレイスト×セレンIF
:小説・男女恋愛・バッドエンド・
R18
・
本編読了後推奨
初稿更新終了
ツンデレ王子様の結婚事情
:漫画(字コンテ)・BL
玉座の憧憬 ロウェル×アレイストIF
:小説・BL・
R18
・
本編読了後推奨
初稿更新中
ツンデレ王子様の結婚事情
:漫画(下書き)・BL
愛する貴方と「番」を解消する方法(仮題)
:漫画(字コンテ)・BL・
R18
夢見る少年と未羽化の蝶 二章
:小説・BL
誓約の姫
:ゲームシナリオ・男女恋愛
改稿版完結
血塗れ聖女を拾ったのは
:小説・男女恋愛(
改稿版
)
玉座の憧憬 本編
:小説・男女恋愛(
改稿版
)
検索
カテゴリ
(カテゴリを選択)
血塗れ聖女を拾ったのは (1)
玉座の憧憬 本編 (36)
ツンデレ王子様の結婚事情(下書き) (6)
ツンデレ王子様の結婚事情(字コンテ) (1)
愛する貴方と「番」を解消する方法(仮題)(字コンテ) (22)
夢見る少年と未羽化の蝶 二章 (20)
誓約の姫 (6)
玉座の憧憬 アレイスト×セレンIF (2)
玉座の憧憬 ロウェル×アレイストIF (17)
ハッシュタグ
玉座の憧憬
(55)
玉座の憧憬_本編
(36)
愛する貴方と「番」を解消する方法(仮題)_字コンテ
(22)
愛する貴方と「番」を解消する方法(仮題)
(22)
夢見る少年と未羽化の蝶_二章
(20)
夢見る少年と未羽化の蝶
(20)
玉座の憧憬_ロウェル×アレイストIF
(17)
ツンデレ王子様の結婚事情
(7)
誓約の姫
(6)
ツンデレ王子様の結婚事情_下書き
(6)
玉座の憧憬_アレイスト×セレンIF
(2)
ツンデレ王子様の結婚事情_字コンテ
(1)
血塗れ聖女を拾ったのは
(1)
日付一覧
2026
年
(54)
2026
年
08
月
(1)
2026
年
03
月
(5)
2026
年
02
月
(48)
2025
年
(57)
2025
年
09
月
(8)
2025
年
08
月
(36)
2025
年
07
月
(7)
2025
年
06
月
(2)
2025
年
05
月
(4)
//背景:王宮・廊下・昼
マリア(随分と久し振りに来た気がするわ……)
ロベルトの後を追いながら歩くマリアは、視線だけを動かしながら、周囲を見渡す。幼少期は従兄でもある王太子と遊ぶため、頻繁に訪れていたものだが、ここ数年はさっぱりだった。
ロベルト「おや。ウィルくんじゃないか」
ウィル「これは、ご無沙汰しております。アシュフォード卿。それから、マリア姫も」
マリア「え、えぇ……」
ウィル「本日はどうなさったのですか、卿?」
ロベルト「いや、実は『あの件』が正式に決まったそうでね」
ウィル「!」
マリア(……『あの件』?)
ウィル「……そうでしたか。それは、急ぎ参内されるのも納得です。ですが……」
ウィルがこちらに視線を向ける。
ウィル「それならば、いきなり姫同席の元にお話しなさるのは、些か急が過ぎるのでは? 見たところ、姫にはまだ何も仰っていないようですし」
ロベルト「う、うむ……。たしかに」
ウィル「ひとまず、卿だけでお話なされては? 頃合いを見て、俺が姫をお連れしますよ」
ロベルト「…………」
ウィルの提案に、しばし悩む様子を見せたロベルトだったが、次の瞬間には笑顔で顔を上げた。
ロベルト「そうだな。では、ウィルくんの言う通りにしよう! 君ならば、安心できる」
ロベルト「ではマリア、ウィルく――、おっと……、王宮に仕える騎士殿をいつまでも「くん」呼びするのは失礼だった。アルジェリス卿と後から来なさい」
マリア「あっ、お父様!?」
さっさと立ち去っていったロベルトを、マリアは呆然と見送るしかできなかった。
マリア「…………」
マリア「……それで、どうして父を遠ざけましたの?」
ウィル「ん? 何のことだ?」
先程までとは打って変わり、気安い態度になったウィルに、マリアは肩を竦めた。
マリア「とぼけるなら……、まあいいです」
マリア「貴方とも随分お久し振りですね、ウィル様」
ウィル「まあ、ガキの頃とは違うからな」
マリア「そうですね」
ウィルとは、いわゆる「幼馴染」だ。
とはいっても、狭い貴族社会で年回りの近い、家格も近い子供たちが顔見知りなのは、当然と言えば当然だ。結婚を意識するような年回りに近付くごとに交流は薄くなって、こうして顔を合わせたのは何年ぶりだろう。
マリア「騎士になった、って聞いてましたけど……。こうしてみると、なかなか板についていますね」
ウィル「まぁな。そういうお前も、すっかり『淑女』だな」
ウィル「馬子にも衣装?」
マリア「……バカにしてます?」
ウィル「ハハ、冗談冗談。あんま怒んなよ。かわいい顔が台無しだぜ?」
ぽんぽんと頭に乗せられた手に、ますますムッとする。
マリア「もう、いっつも子ども扱いして……。それより、そろそろ行かなくて良いのですか? 何の話なのかは知りませんが、私にも関係のあるお話なのでしょう? あまり、お待たせしては――」
ウィル「…………」
マリア「な、なんですか……?」
ウィル「……いや、なんでも。そんな時期か、って思ってさ」
マリア「え?」
ウィル「なんでもねーよ。行こうか、マリアの言う通り、あんまり陛下をお待たせするのもな」
マリア「あっ、ま、待ってください……!」
マリア(どういう意味……?)
しかし、ウィルがその疑問に答えてくれることはなく、あっという間に、国王の待つ部屋へと連れていかれたのだった。