初稿置き場
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玉座の憧憬 本編:小説・男女恋愛
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ツンデレ王子様の結婚事情:漫画(字コンテ)・BL
玉座の憧憬 アレイスト×セレンIF:小説・男女恋愛・バッドエンド・R18・本編読了後推奨
玉座の憧憬 ロウェル×アレイストIF:小説・BL・R18・本編読了後推奨
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玉座の憧憬 ロウェル×アレイストIF:小説・BL・R18・本編読了後推奨
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改稿版完結
#愛する貴方と「番」を解消する方法(仮題)_字コンテ 22
半年後。
「っ……」
ほろりと頬を流れ落ちた涙に、ユリスは目を覚ました。
発情期用の抑制剤の効果が切れてきたらしい。
身体の奥がじくじくと熱く、頬をすべっていった涙にも震えてしまう。
(なんか、懐かしい夢を見たな……)
ユリスは自室のベッドで丸くなって、目を閉じる。
ルベルトと番になり、彼の元を去って――、二度目の発情期が訪れていた。
一度目の時は発情期が来たことに、つまり妊娠していないことに落胆して、分かっていたことだろうと自嘲したものだ。そして、ルベルトが追いかけて来てくれるのではないか、そんな想像をして、勝手に裏切られて、一週間余りの時間を泣いて過ごした。
来るわけがない。
今ユリスがいるのは、国の辺境にある一地方だ。しかしその場所は父ダリアスによって、徹底的に秘匿されているはずだからだ。
「……大丈夫」
薄くなってきた項の痕を指で辿り、言い聞かせるように呟く。
この半年、ユリスも何もしていなかったわけではない。
現在ユリスは、通いの家庭教師――のようなものをしている。ここの領主夫妻の幼い息子……オメガ子息の話相手だ。
自分を慕ってくれる年少の男の子の顔が思い浮かぶ。
王都を離れ一番に驚いたのは、オメガへの偏見が都より遥かに緩かったことだろうか。
昔はオメガといえば産まれても売り払われることが常だったと聞いていたが、世界はとっくに変わっていたらしいと知った。
むしろ、アルファの権勢を高めたいが故に、オメガ排斥の思想は都――特に貴族の中の方が強かったのだ。
ユリスは今ただのユリスとして、一人のオメガとして、ここで暮らしている。
今もし、王都に戻れたとして、もうユリスをアルファだと思う人間はいないだろう。そう自分でも感じるほど、自分は変わった。
それが良い変化なのか――、は、まだ分からないけれど。
「んっ……」
ユリスは熱い息を吐き出して、手を下履きの中に滑り込ませた。
「あ、……っ」
緩く勃ち上がった前をやわく握る。それだけの刺激で腰が震えて、後ろが濡れた。
「っふ、ん、あぁ……」
手で陰茎を扱き、身体をくねらせる。
「っ――!!」
白濁が手の平を汚し、身体が弛緩する。それと同時に、涙も零れた。
(さみしい)
普段は理性で抑え込めている感情が溢れ出す。
(さみしい、さみしい……、さみしい……っ)
汚れた手をシーツに擦り付けて拭くと、そのまま後孔に回す。
「っ、あぁん……」
つぷりと中に指を挿れる。一度達したばかりの敏感な身体は、ぎゅうぎゅうと細いその指を締め付ける。
でも、こんなのじゃ足りない。
もっと熱いもので奥まで満たされたかった。
全身を包まれて、愛しい匂いで胸をいっぱいにしたい。
ぽろぽろと涙が零れ落ちていくまま、彼の腕に抱かれていた時を思い出しながら、中を抉った。
「ルベルト、さまぁ……っ!」
今すぐここに現れて、抱きしめて――。
「……ユリス」
耳に届いた声に、ハッと息を飲む。
潤んだ目で扉の方を見る。
「――ルベルト、さま……?」
いや、でも、あり得ない。
目蓋を閉じて、もう一度開く。
目元に溜まっていた涙が落ちて、滲んだ視界は晴れたが、彼の姿はまだそこにある。
でも、信じられない。
(きっと、発情期が見せる幻だ……)
でも、それならば。それならば、少しくらい我儘を言ってもいいだろうか。
「っ、なんで……。なんで、今更来たんですか……!」
上体を起こし、俯いたまま叫ぶ。目からはまた涙がぱたぱたと落ちていくのが見えた。
「おれ、ずっとまってたのに……!!」
口にして気付く。
そうだ。本当はずっと待っていた。
お前が大切だと、他の人間と番になる気はないと、そう言った彼が、その言葉を守りに来てくれることを。
自分から去っておいて虫が良いと、冷静な部分は言うが、それを振り切って求めてほしかった。
(だって、ほんとうは――)
「あなたのそばにいなくちゃ、おれは生きていけない……」
貴方が近くにいないと、俺は息の仕方も忘れてしまう。
可愛い弟のような存在に慕われて、毎日が楽しかった。けれど、心にはいつも穴が開いていて、生きている実感が持てないでいた。
それに気付いたら折れてしまう。
どこかでそのことを分かっていたから、見ない振りをしていた。
なのに。
どうして今更、と怒りが湧く。
彼を最後に見た日から半年が経って、やっと――、忘れられるかもしれないと、そう思いはじめていたのに。
本物のルベルトがいるわけではない。
それでも、怒りが収まらずに顔を上げる。
だがその激情が言葉になることはなかった。
「――私もだ」
は、と息が漏れる。
「……ル、ベルト…さま……?」
ユリスは男の腕の中にいた。
体温、匂い、感触――、全てが鮮明にルベルトの存在を主張している。
おそるおそる、彼の腕に触れる。
「ほん、もの……?」
通り抜けることも、消えてしまうこともなく、ユリスの指先はルベルトに触れていた。
呆然と呟くとルベルトは苦笑して、ユリスの頬を両手で包む。
「ああ。私はここにいる。……遅くなって悪かった」
「あ……」
挟まれた頬が、じんわりと熱くなる。彼の熱が移ったのか、自分の頬がただ熱いのか。それは分からないが、彼が確かに目の前にいるのだと、理解するには十分だった。
「なんで……」
目尻に涙を溜めて問えば、額にキスが降ってくる。
「言っただろ、『私もだ』って。私も……、お前が傍にいなければ、生きていけない。だから、迎えに来たんだ」