初稿置き場
作品一覧
改稿版更新中
玉座の憧憬 本編:小説・男女恋愛
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ツンデレ王子様の結婚事情:漫画(字コンテ)・BL
玉座の憧憬 アレイスト×セレンIF:小説・男女恋愛・バッドエンド・R18・本編読了後推奨
玉座の憧憬 ロウェル×アレイストIF:小説・BL・R18・本編読了後推奨
玉座の憧憬 アレイスト×セレンIF:小説・男女恋愛・バッドエンド・R18・本編読了後推奨
玉座の憧憬 ロウェル×アレイストIF:小説・BL・R18・本編読了後推奨
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改稿版完結
#愛する貴方と「番」を解消する方法(仮題)_字コンテ 21
城へと戻るルベルトと別れ、ユリスは自宅の門を潜った。
静かであたたかみのない雰囲気はいつもと変わらないが、何か違和感があった。
馬車を降り、玄関ホールへ足を踏み入れる。そこに、普段から最低限の接触しかない家令が立っているのを見て、感じた「違和感」が気のせいではなかったのだと悟った。
「旦那様がお待ちです」
「……、わかった」
返答の声は、自分でも情けないほど震えていた。
それでも、どうにか自分を叱咤して父が待つという書斎へ足を向ける。
「――失礼いたします」
部屋の扉を開けると、その先には普段から厳しい顔を更に険しくした、父ダリアスがいた。
「私が何を言いたいか分かるか」
挨拶もなしに切り込まれた問いに、ユリスは言葉に詰まる。
何の話かなんて分からない。だが、「良い話」でないことは、彼の顔を見れば明白だ。
(何か、言わなければ――)
そう思うのに、唇が震えるばかりで喉からは何の音も出てこない。
立ち竦むユリスに痺れを切らしたのか、ダリアスが苛立たしげに溜息をついて、ピッと指を差してきた。
「後ろを向け。項を見せろ」
「あ……」
その確信を持った言い方で、既に自分の身に起こったことが知られているのだと悟った。
恐怖で崩れ落ちそうになる足で、どうにかダリアスに背を向けて、震える指で長い髪を手繰る。
すると、もう一度溜息が聞こえた。
「もういい、こちらを向け」
「はい……」
「相手は王太子だな」
(そこまで知られてるのか……)
ユリスはきゅっと唇を噛んで頷く。
ここで隠し立てした所で意味がないのは分かっていたからだ。ユリスが何を言おうとも、既に確信を持つだけの情報を、この男は手に入れているはずだからだ。
「この事は、既に両陛下の耳にも届いている」
「!」
「……オメガ程ではないにせよ、番を得ればアルファの肉体にも変化はある。息子のそれに気付かぬほど、両陛下は暗愚ではいらっしゃらない」
では、はじめから隠し通すことなど不可能だったのだ。
「では、ルベルト様からお聞きになったのですね」
「ああ。殿下といえど、陛下からのご命令を受けてまで、口を噤んだままではいられないからな」
ダリアスの言葉にユリスはハッと顔を上げた。
(それはつまり、陛下からのご下命があるまで、黙っていて下さったということ……?)
冷静に考えれば、一国の王子が番を得たことを国王とその妃にまで知らせないなどあり得ない。
これまでは、単純に運良く知られずに済んでいると思い込んでいたが――。
ルベルトがユリスの意思を尊重しようとしてくれていたのだと知り、ついユリスの涙腺が緩む。
「殿下は、お前を妃にと望んでおられる」
「……はい」
「それが現実的でないことは、理解しているな?」
「………………はい」
ダリアスの視線は、ユリスの下腹に向けられている。
子供を孕むのが難しい身体で、後継を必要とするルベルトの妻の座に居座るわけにはいかない。
「殿下はまだ、お前の身体のことをご存知ないために、そのようなことを仰っているが……。事が事が故に、両陛下には、既にお伝えしている」
ダリアスが一度言葉を切って、指を二本立てた。
「こうなった以上、お前に取れる手は二つだ。一つ、オメガであることを公表し、殿下の望む通り妃になる。ただしこれは、側妃もしくは愛妾を迎えることが前提だ」
「はい」
「もう一つは、王都を去り、二度と殿下には会わないこと」
「――っ!」
「理由は言わずとも分かるな?」
ユリスはダリアスから視線を逸らして頷いた。
「俺が傍にいる限り、ルベルト様は妃をお選びになろうとしない、から……ですね」
ダリアスが頷く。
「仮にこのまま発情期を共にせず、番が解消されようとも、殿下はそうなさるだろうと両陛下はお考えだ。お前をアルファだと思っている時から、殿下はお前に執心なさっていたんだ。誰でもそう思う」
「……はい」
堪えきれなかった涙が、床の上に落ちた。
「――どうする。後はお前の選択次第だ」