初稿置き場

#愛する貴方と「番」を解消する方法(仮題)
#愛する貴方と「番」を解消する方法(仮題)_字コンテ 8


 幸い、アルファの発情に誘発されただけのそれは、一晩経つとすっかりなくなっていた。
 だが――、いや、だからこそというべきか、発情の熱でうやむやになっていた、身体の痛みを自覚してしまう。初めて男を受け入れた後ろの違和感。それから、項のひりつくような痛みだ。
「……おはようございます」
 ルベルトと顔を合わせたくない。
 彼と出逢ってから、はじめてそんなことを思ったが、発情が収まった以上、出仕しないわけにもいかない。先延ばしにすればするだけ、一層行きたくないと思ってしまうのは目にみえていたからだ。
「ユリス!」
 ルベルトの執務室に入ると、彼が立ち上がって早足で駆け寄ってきた。
「よかった。その……、身体はなんともないか?」
「……はい」
 彼の視線を避けるように俯いて、自分の机へ向かおうとする。だが、ルベルトはそれを阻むように前へ立ち塞がってくる。
「ユリス、こっちを向いてくれ。私は……」
「っ!」
 頬に手を伸ばされて、ユリスは思わずそれを払いのけた。
 パシッと音が二人きりの部屋に、妙に大きく響いた気がする。
 ユリスは驚いて目を見開くルベルトを見ていられずに、また視線を逸らした。
「昨日、言いましたよね。私は『アルファの男』。貴方の番になる気はない、と」
「ユリス……、だが」
「昨日のことは事故です。……お互い、正気じゃなかった。違いますか」
「――しかし、私は、お前に……っ」
「責任を感じているなら、……もう、放っておいてください」
「っ……」
 ユリスは今度こそルベルトの隣をすり抜けて、席についた。ルベルトも仕方なさげではあったが、椅子に戻っていく。
(……でも、いつまでこれで躱せるだろうか)
 番間の妊娠率は非常に高い。中に何度も……、溢れるほどに出されたのも覚えている。通常なら、既に妊娠していても不思議はないくらいなのだ。
 ルベルトも、それは当然知っているはずだし、子がいると考えている可能性も高い。
 妊娠がはっきりするであろう数ヶ月以内には、再度何かしら話があるはずだ。それは避けられない。
(ああ、でもその前に()()がある)
 ユリスは軽く頭痛を覚えて、眉間を揉んだ。
 それを心配げに見つめるルベルトの視線には気付かない振りをしながら、仕事に意識を向ける。
 彼と、ただのアルファとオメガとして出逢えていたなら――。
 そんなありもしない、想像をしながら。

2026/02/01 14:29:11

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