初稿置き場
#玉座の憧憬
#玉座の憧憬_ロウェル×アレイストIF
13
ロウェルがアレイストの不在に気付くより少し前――。
アレイストは街中に張り巡らされた水路沿いを歩いていた。
市街地ほど人は多くないが、きちんと整備されていて治安も悪くないその場所は、アレイストにとって散策には都合が良かった。
難点を上げるとするならば、景色に代わり映えがないことくらいか。
少し前まで、体調を回復させるためにとベッドの住人となっていたアレイストは、今はその間に落ちてしまった筋力を回復させんと目下努力中だ。
ロウェルと二人、ぽつぽつと会話を交わしながら歩くのもいいが、たまには一人で気ままに過ごすのも悪くないな、なんて思う。
とはいえ、とアレイストは空を仰いだ。
太陽がかなり高い位置に差し掛かっている。ロウェルは昼頃には一度戻ると言っていたため、そろそろ帰宅しておかねば心配させてしまうだろう。
つい忘れてしまいそうになるが、自分たちは逃亡中の身だ。特に、アレイストの顔は追手となる王国兵に周知されているはずだ。自分があまりふらふらと出歩くのは良くない。
それを許してくれるロウェルは、かなり自分に甘い。
アレイストはふと周囲を見渡して、ここからどう帰るのが一番早いだろうかと計算して、そちらに方向を変えた。
一度大通りまで出ることに決めたアレイストは、徐々に耳に届きはじめた人のざわめきを、聞くともなく聞きながら歩調を速める。とはいっても、杖をつきながらなので限界はあるが。
だがその時、視界に印象的な銀髪が映って、思わず足を止めた。
輝く銀色の髪――。それは姉と同じ……。
「――姉、上?」
つい口からついて出た言葉に、その女が振り返って目を見開いた。
「アレイスト……?」
そこにいたのは、紛れもなく異母姉セレンティーネその人だった。
2026/02/01 14:18:31
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ロウェルがアレイストの不在に気付くより少し前――。
アレイストは街中に張り巡らされた水路沿いを歩いていた。
市街地ほど人は多くないが、きちんと整備されていて治安も悪くないその場所は、アレイストにとって散策には都合が良かった。
難点を上げるとするならば、景色に代わり映えがないことくらいか。
少し前まで、体調を回復させるためにとベッドの住人となっていたアレイストは、今はその間に落ちてしまった筋力を回復させんと目下努力中だ。
ロウェルと二人、ぽつぽつと会話を交わしながら歩くのもいいが、たまには一人で気ままに過ごすのも悪くないな、なんて思う。
とはいえ、とアレイストは空を仰いだ。
太陽がかなり高い位置に差し掛かっている。ロウェルは昼頃には一度戻ると言っていたため、そろそろ帰宅しておかねば心配させてしまうだろう。
つい忘れてしまいそうになるが、自分たちは逃亡中の身だ。特に、アレイストの顔は追手となる王国兵に周知されているはずだ。自分があまりふらふらと出歩くのは良くない。
それを許してくれるロウェルは、かなり自分に甘い。
アレイストはふと周囲を見渡して、ここからどう帰るのが一番早いだろうかと計算して、そちらに方向を変えた。
一度大通りまで出ることに決めたアレイストは、徐々に耳に届きはじめた人のざわめきを、聞くともなく聞きながら歩調を速める。とはいっても、杖をつきながらなので限界はあるが。
だがその時、視界に印象的な銀髪が映って、思わず足を止めた。
輝く銀色の髪――。それは姉と同じ……。
「――姉、上?」
つい口からついて出た言葉に、その女が振り返って目を見開いた。
「アレイスト……?」
そこにいたのは、紛れもなく異母姉セレンティーネその人だった。