初稿置き場

#玉座の憧憬
#玉座の憧憬_ロウェル×アレイストIF 12


 とある国で起きた王太子殿下の誘拐事件。
 城内から()()()()()()()()()()成し遂げられたというそれは、半月ばかり経った今も、犯人の手がかりすら掴めていないらしい。
「……アミリア妃には感謝だなぁ」
 ロウェルはウィレミニア国内に残してきた部下からの報告書を読みながら嘆息する。
 もっとも、ロウェルがその「誘拐事件」の犯人だと知るのは極一部の人間であるため、この報告書も単なる王国の情勢に関する報告に過ぎない。
 海を超えた別の国に居を移したロウェルの元に情報が届くまでには数日かかるが、今もアミリアがロウェルと遭遇したことを言っていないとなると、暫くは安心してよさそうだ。
 その時、ふっと気配を感じてロウェルは振り返る。
「ロウェル……」
「おはよう、アレイスト」
 シーツと左足を引き摺りながらこちらへ来るアレイストは、起きたばかりなのか、眠そうな目を擦っている。
 海の見えるバルコニーから室内へと戻ると、アレイストが腰に巻き付いてきた。
「まだ眠いか? 朝食作るけど、食べられそ?」
「うぅん……」
 ロウェルの肩に頭をぐりぐり押し付けつつ、アレイストは頷いた。ロウェルはそんな彼の身体を抱き上げて、ダイニングへと連れて行く。
 椅子へ座らせて額に口付けると、ふにゃりと表情を緩める。
「うっ……」
 そのままもう少しキスしていたいのをどうにか堪えて、キッチンへ向かう。
 アレイストはここに来てから、とても甘えたになった。
 ロウェルはそんな彼の変化に、いまだ慣れそうにもなかった。
「アレイスト、俺、今日は少し出かけるつもりなんだけど……。お前はどうする?」
 あの夜、彼を連れ出した日から、アレイストも徐々に体調が回復している。ロウェルは彼の世話を主にしつつ、情報屋の国外拠点作りを細々とはじめていた。
 夜もロウェルが傍にいればよく眠れるようで、彼を抱きしめて眠るのが日常となっていた。
 ――あの夜、アレイストが呟いた「抱いてほしい」という願いに関しては、お互い触れないまま、清い関係が続いている。
 ロウェルとしては、アレイストが安心していられるならなんでもいい。
 ただここは、海に面した街ということもあり、ウィレミニアからの来訪者も多い。彼の体力が回復し次第、居住地は移すつもりであったが――、概ね平和で穏やかな日々が続いていた。
「今日は……、少し散歩をしてくるよ」
 アレイストの声に、ロウェルが振り返って首を傾げる。
「一緒じゃなくて平気か?」
 足が悪い彼は、何かあった時走って逃げることもできない。目を離したところで何かあったら――、という不安は今も大きい。
 だが、アレイストはくすりと笑って、肩を竦めた。
「過保護め。僕はもう子供じゃないぞ。ちょっと歩いてくるくらい平気だ。……お前が帰る頃には、ちゃんと家にいるから」

 しかし、昼過ぎになってロウェルが戻った時、アレイストの姿はそこにはなかったのだ。

2026/02/01 14:17:46

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