初稿置き場

#玉座の憧憬
#玉座の憧憬_ロウェル×アレイストIF 7


 アレイストとの決別から、時間はあっという間に過ぎてゆく。
 ロウェルは、アレイストの命令をこなす中でできた繋がりをそのまま組織化して、今は情報屋の長のような立場に収まっていた。
 アレイストとはあれ以来一度も会っていないが、彼がどうしているのかくらい、意識して知ろうとせずとも耳に入ってくる。
 王太子妃となったアミリアとの中は良好。二人の子宝に恵まれ、もうあと数年もしない内に、父王からその地位を譲られるだろうと噂されている。実際、今国を動かしているのは彼だ。
 生まれた王子二人も、資質、性格、健康状態、どれも問題なく、まさに「順風満帆」という言葉が相応しい。
 やはり、俺の存在は必要なかったのか。
 そう見せつけられるような時間だった。
「八年、か……」
 あの夜から、もう八年の月日が流れている。
 きっとこのままもう、彼と会うことはないのだろうな、と思うことも増えた。
 ロウェルが纏めている一団は、それなりに大きな組織となった。アレイストがその存在に気付いていないはずはない。
 だが、今もって接触はない。
 なら、それはきっと、そういうことなのだ。
「そろそろ、国外展開も考えるかな」
 組織の長という立場ではあるが、彼らは既にロウェルの手を殆ど離れている。信頼できる仲間たちに任せておけば、この国での商売はもう大丈夫だろう。
 これ以上組織を大きくするならば、国外に目を向けるべきだ。ロウェルの側近とも言える、大きな支部の長たちにも進言されていることだった。
 それでも、のらりくらりとその言葉を躱し続けて、王都に留まり続けていたのは――、心のどこかで彼がまた頼ってきてくれるのを、期待していたからなのかもしれない。
 だが、それもそろそろ潮時だろう。
 もうアレイストは庇護の必要な子供ではない。
 ならば、ロウェルも「次」に目を向けなければならないはずだ。
 ロウェルは、はあ、と大きな溜息をついて、近々の日程を確認する。
 次の会合はいつだったか。
 それに合わせて、国外展開の計画を練っておかなければ……。
 そんなことを考えていた時だった。
「……?」
 俄に廊下が騒がしくなって、ロウェルは腰を上げる。
 それと同時に、急くようなノックの音がした。入室の許可を与えると、部下の一人である男が入ってくる。
「何事だ、レオ?」
 男――レオの表情に、何か良くないことが起こったのは察せられた。
「落ち着いて、聞いてください」
 いつもはない妙な前置きに、心がざわざわとしながらもロウェルは頷いた。
 そして、レオが静かに告げる。
「アレイスト王太子殿下が、倒れられました」

2026/02/01 14:12:29

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