初稿置き場

#玉座の憧憬
#玉座の憧憬_ロウェル×アレイストIF 5


 しかし、二人の間に変化があったように、周囲もそのままではいてくれない。
「……ま、そうだよな」
 ぼそっと呟いたロウェルの独り言は、誰に聞かれることもなく消えていく。
 身を潜めて様子を窺う先には、アレイストと――、彼よりいくつか年少の若い女がいた。
 庭の東屋で菓子と茶を前に談笑する男女。
 ロウェルのいる場所からは声こそ聞こえないが、唇の動きでなんとなくは何を言っているか分かる。
 まあ、とはいっても、大した会話はしていないが。
 ()()()()()()()()に相応しい、誰に聞かれても困ることのない、それでいて仲睦まじいのが窺える内容だ。
 ロウェルは沈みそうになっている自分の心に気付いて、それを紛らわすように頭を掻いた。
 いつかこんな日が来ることは、はじめから分かりきっていた。
 いや、アレイストの二十二歳という年齢を考えれば、遅すぎたくらいなのだ。
 あの女性の名は、アミリア・キンドレー。近くアレイストと婚約し、間を開けずに輿入れすることが内定している人物だ。
 前々から婚約者候補としてアレイストと面識はあったが、少し前から本格的に婚約の流れが加速し、二人は頻繁に顔を合わせるようになっている。
 おそらく、セレンティーネ王女が王都を離れたことにより、国王の彼女への罪悪感が薄らいだせいで、話が進んだのだろう。
「…………」
 優しい笑顔をアミリアに向けるアレイストの姿が映る。
 このまま、二人は結婚するのだろう。
 王族として、血を残すのはアレイストに課せられた責務だ。そこに異論はない。
 だが、そうなった時、自分たちの関係はどうなるのだろう。
 アレイストの愛人にでもなるのか? いや、あり得ない。自分たちは愛し合っているわけではないのだから。
 ならば、以前の立ち位置に戻るのだろうか。
 身体を重ねた事実などなかったかのように。
 きっとそれが正しい。
 そうロウェルは考えている。
 だが、胸には一抹の不安が残っていた。
 アミリアとの逢瀬が増える毎に、アレイストがロウェルを求める頻度も上がっていることだ。
 そして何より、苦しそうな顔をする回数も明らかに増加している。
 アミリアのことを厭っているわけではないようなのに、だ。
 ここ暫く、アミリアの身辺調査をアレイストに命じられて彼女について調べ回っていたが、非の打ち所のない令嬢――、これに尽きる。アレイストが父王の判断を一切信用していないがための調査だったが、さすが王家と縁付く家の娘なだけはあった。
 もっとも、個人の資質として少々気弱な面はあるようだが、問題になるほどではない。
「……そろそろ戻るか」
 夜までに調査報告を纏めておこうと立ち上がる。
 そろそろ部下に投げていたキンドレー家やその親類に関する調査も終わっている頃だろう。
 纏めてアレイストに渡せばいい。
 今夜もまた、彼に呼ばれているのだから。

2026/02/01 14:10:04

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