初稿置き場

#玉座の憧憬
#玉座の憧憬_ロウェル×アレイストIF 4


「っ、ぁ……!」
 四つん這いの状態で、ロウェルは背中を弓なりに反らす。
 勃ち上がった前からは白濁が散って、内腿が震えた。中をきつく締めてしまったせいか、背後のアレイストが呻く。
 背中にぽたりと落ちた汗にも感じてしまって、シーツを握り締める手に力が籠もった。
 肩で息をしながら、ずるりと陰茎が抜け出ていくのを待つ。達したばかりで敏感になっている身体は、その刺激にも感じてしまうが、それを無視して身体を起こす。
 何度か深呼吸をして身体の熱さを鎮めると、隣でこちらに背を向けて丸くなるアレイストの方を見た。
「アレイスト、寝る前に身体を洗え」
 頭を撫でるように彼の黒髪を梳くと、手で払い除けられる。
「お前がやれ」
「……はいはい。それなら、ほら。腕こっちに回して」
 ロウェルは自身の首に腕を回させると、お姫様だっこをして扉一枚で繋がったところにある浴室へ連れて行く。
 アレイストの身体を片腕で抱え直すと、水栓を捻り浴槽に湯を溜める。
 上下水道完備なのは、さすが王の住まう城だなぁ、などと妙な感心をしながら、湯の温度を確かめてからそこにアレイストの身体を放り込んだ。
「熱くないか?」
 何も言わないので、大丈夫なのだろうと判断して、石鹸を泡立てる。順に彼の身体を洗ってゆくのも、もう慣れたものでぼんやりと考え事をしながら、作業をする。
 一体、幾度目だろうか。
 身体を繋げ、こうして細々と世話をして、彼が眠るまで傍にいる夜は。
 もう両の手で数え切れないほどの回数を重ねているのは確かだ。
 酷い痛みを伴った接合は、最初の一回きり。その後は、受け入れる準備をするようになった。アレイストのしなやかな指が体内をまさぐるのは、いまだに慣れないが――、それでも身体は適応していくものなのか、内部で快感を拾えるようになっていた。
 はじめに比べれば、お互いの負担は軽減した。だが、それだけとも言える。
 口付けはおろか、抱き合ったこともない。
 挿れて、出して……、終わりだ。
 アレイストは、こうして抱き上げて移動する時や、身体を洗う時に触れることは許しても、それ以外は頑なだった。
 愛撫どころか、眠る時に抱きしめることもできない。
 商売女との行為の方が、情感があるのではないかとさえ思うほど、二人の間に流れる空気は冷たかった。
 肉体は過去にないほど近いのに、心は以前よりもずっと離れている。
 それはきっと、気のせいではない。
「――よし」
 アレイストの身体を綺麗にしたロウェルは、自分の方はザッとおざなりに身体を流す。それから、彼をぬるい湯に残したまま寝室に戻りシーツを替えてから、またアレイストの元へ行く。今度はその身体を抱き上げて浴室を出ると、身体を拭いてやってからベッドに寝かせた。
 じとりとした視線を感じて、ロウェルもその横に寝転ぶ。それを確認したアレイストは、やはりこちらに背を向けて、身体を丸めた。
 決してこちらを見ない。触れさせることもない。だが、離れるのは許さない。
 どこか矛盾したアレイストの態度は、ロウェルを少なからず混乱させている。
 それでも、彼の傍からは離れられない。
 ――離れる気もない。
 程なくして寝息が聞こえだしたのに気付いて、ロウェルは身体を起こした。
「俺はお前が望む限り傍にいる。……どうしたら、信じて……安心してくれるんだろうな」
 ロウェルはアレイストのこめかみにキスをする。
 この行為は、贖罪の延長などではないのだろうけれど。
 今はそれについて、深く考えないようにしていた。

2026/02/01 14:08:19

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