初稿置き場
#玉座の憧憬
#玉座の憧憬_ロウェル×アレイストIF
1
「アレイスト!!」
悲鳴のような声が自分の喉から飛び出していく。
転落してゆく小さな手を掴もうと、必死に走って手を伸ばした。
だが、その手は空を切って――。
地面を幼い少年が物のように転がっていく音、遥か下でようやく停止したその身体は、ぴくりとも動かなかった。
身体がガタガタと震えだす。
自分はなんてことをしてしまったんだろう。
どうして手を離した。どうして、一瞬でも目を離したんだ。
おれが、この子を守らなければならなかったのに。
死んでしまっていたらどうしよう。こんな高さから落ちたのに、無事なはずがない。
どうしよう。どうしたら――
「――ッ!!」
ロウェルは、ハッと目を開いた。
辺りは暗い。まだ、真夜中だ。
どくんどくんと嫌な音を立てる心臓を、幾度かの深呼吸でなんとか宥めて、ふと傍らを見る。
「アレイスト……」
ロウェルに背を向け、身体を胎児のように小さく丸めて眠る青年の姿があった。
どうやら起こしはしなかったらしいと安堵する。
剥き出しの肩にシーツをかけて、そっと髪にキスを落とす。
せめて、彼を抱きしめられたらいいのに。
いまだに夢に見るほど強烈な記憶として残る十七年前のあの日から、自分たちの間には見えない壁が存在している。
こうして、何の因果か身体を繋げるようになった今も、それは変わらない。
そこまで考えて、ロウェルは静かに首を振った。
たしかに現状、二人の間に肉体関係があるのは事実だ。だがこれは、愛や恋、性欲に起因するものですらない。
アレイストはずっと確かめている。
ロウェルがどこまで自分の要求に応えられるのか。本当に、何があっても傍を離れないのか。
もうずっと、自分たちの関係は歪んでいた。
だがそれを更に暗い場所へ落としたのは、今から少し前のことだ。
数ヶ月前、アレイストの姉セレンティーネがこの城を発つことになったその日まで遡る――。
2026/02/01 14:01:06
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「アレイスト!!」
悲鳴のような声が自分の喉から飛び出していく。
転落してゆく小さな手を掴もうと、必死に走って手を伸ばした。
だが、その手は空を切って――。
地面を幼い少年が物のように転がっていく音、遥か下でようやく停止したその身体は、ぴくりとも動かなかった。
身体がガタガタと震えだす。
自分はなんてことをしてしまったんだろう。
どうして手を離した。どうして、一瞬でも目を離したんだ。
おれが、この子を守らなければならなかったのに。
死んでしまっていたらどうしよう。こんな高さから落ちたのに、無事なはずがない。
どうしよう。どうしたら――
「――ッ!!」
ロウェルは、ハッと目を開いた。
辺りは暗い。まだ、真夜中だ。
どくんどくんと嫌な音を立てる心臓を、幾度かの深呼吸でなんとか宥めて、ふと傍らを見る。
「アレイスト……」
ロウェルに背を向け、身体を胎児のように小さく丸めて眠る青年の姿があった。
どうやら起こしはしなかったらしいと安堵する。
剥き出しの肩にシーツをかけて、そっと髪にキスを落とす。
せめて、彼を抱きしめられたらいいのに。
いまだに夢に見るほど強烈な記憶として残る十七年前のあの日から、自分たちの間には見えない壁が存在している。
こうして、何の因果か身体を繋げるようになった今も、それは変わらない。
そこまで考えて、ロウェルは静かに首を振った。
たしかに現状、二人の間に肉体関係があるのは事実だ。だがこれは、愛や恋、性欲に起因するものですらない。
アレイストはずっと確かめている。
ロウェルがどこまで自分の要求に応えられるのか。本当に、何があっても傍を離れないのか。
もうずっと、自分たちの関係は歪んでいた。
だがそれを更に暗い場所へ落としたのは、今から少し前のことだ。
数ヶ月前、アレイストの姉セレンティーネがこの城を発つことになったその日まで遡る――。