初稿置き場
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玉座の憧憬 本編:小説・男女恋愛
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ツンデレ王子様の結婚事情:漫画(字コンテ)・BL
玉座の憧憬 アレイスト×セレンIF:小説・男女恋愛・バッドエンド・R18・本編読了後推奨
玉座の憧憬 ロウェル×アレイストIF:小説・BL・R18・本編読了後推奨
玉座の憧憬 アレイスト×セレンIF:小説・男女恋愛・バッドエンド・R18・本編読了後推奨
玉座の憧憬 ロウェル×アレイストIF:小説・BL・R18・本編読了後推奨
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#玉座の憧憬_本編 34
セレンが眠ってしまうまで傍で見届けたロウェルは、そっと部屋を退室した。
そこにむっつりと腕を組んで壁にもたれる人影を見つけて、目を丸くする。
「アレイスト……」
ちらと睨むようにロウェルを一瞥するアレイストだが、そのまま何も言わない。ロウェルはきょろと視線を巡らせて尋ねた。
「リーティエ公女は?」
「母上なら、もう戻られた」
ならお前は? と視線で問うが、アレイストは黙ったままだ。しかし、そのまま前を素通りして戻ることもできず、ロウェルは所在なく佇む。
そうしていると、アレイストは小さな溜息と共に、ようやく口を開いた。
「陛下には、誘拐されたセレンティーネ王女は公国内で保護、現在はリーティエ妃の元で静養中。誘拐犯は辛くも取り逃がした――、と伝えておく」
アレイストの言葉から、セレンは謀反人ではなく、誘拐の被害者として捜索されていたのだろうと悟る。どうりで、追手に迫られた時、セレンへの害意を感じなかったはずだと納得する。
「わかった。頃合いを見てアキュイラに連れて行くよ」
「……ああ」
それきり、また沈黙が落ちる。
だが、今度その静寂を破ったのはロウェルだった。
「――なあ、アレイスト。……ごめんな」
アレイストの頬がぴくりと痙攣して、ロウェルに鋭い視線を向けた。
「それは、何に対する謝罪だ」
「……、さあ。全部かも。でも一番は、あの日……お前の手を離してしまったこと、かな」
ロウェルの視線が、無意識にアレイストの左足へと向かう。その仕草で、ロウェルの言う「あの日」がいつのことか理解したのだろう。アレイストはまた溜息ついた。
「その件なら、謝罪は受けたはずだが?」
「たしかに謝りはしたな。でも、それを受け取ったことないだろ、お前」
ロウェルの言わんとすることが分かったのか、アレイストの眉間に刻まれていた皺が深くなった。
ロウェルとて、謝ったからといって簡単に許してもらえるとは思っていないし、もしそうなったとしても自分で自分を許せない。
だが、あの事件のあと初めて顔を合わせたアレイストに、心からの謝罪をして頭を下げたロウェルに返ってきたのは、「別に、いい」という短い返答と、それまで見たこともなかった冷たい顔だった。
謝罪をする、ということすら許されないのだ、と悟るには十分だった。
でも、それでも。もっと彼に踏み込んで、鬱陶しがられても謝るべきだった、と今は思う。
そうすればきっと――、こんな寂しそうな目をさせずに済んだのに。
「アレイスト」
「な、っ」
少し強引に腕を引いて、その身体を抱きしめる。
「俺は、今でもお前が大事だし、友人だと……、弟だと、思ってるから」
「っ……」
はじめは抵抗しようとしていた腕の力が抜けて、ロウェルの服を掴んだ。
「お前、ほんと……」
肩口に顔を埋めたアレイストが、もごもごと何かを呟く。
「ん?」
「……ずるい。もう、僕のそばには、戻らない……くせに」
「また、会いに行くよ。必ず」
それっきり何も言わなくなったアレイストの背中を撫でる。
いつか、この夜のことも笑い話にできる日が来ることを願いながら。