初稿置き場
#玉座の憧憬
#玉座の憧憬_本編
26
全てが曖昧に通り過ぎていく。
セレンは、馬上の景色を見るともなく視界に映していた。
憤り、絶望、後悔――。それらはどこか遠くへ行ったらしく、今のセレンの胸に浮かんでくることはない。
疲れてしまった。
ただただ、大きな虚脱感が伸し掛かっている。
時間が歪んでしまっているのか、少し目を閉じただけのつもりだったのに、次に目を開いた時にはどこかの山中にいて、放置されて久しいらしい山小屋が目の前にあった。
「セレン、今晩はここで夜を明かす。明日は早く出るから、出来るだけ身体を休めておいてくれ」
「……そう」
ロウェルの言葉に頷きだけ返して、小屋の中に入った。
彼が手慣れた様子で埃を払い、寝床を用意する。
セレンがぼんやりとその様子を見つめていると、作業を済ませたロウェルが手を引いて、薄い毛布を肩に掛けてきた。
指示された場所に身を横たえて、じっと息を詰める。
ロウェルは窓辺に座って、厳しい顔で外を見つめていた。
この男の目的は何なのだろう。
もう信用なんてできない。でも――。
「あなたは、アレイストの何」
セレンは囁くような声で呟いた。
ロウェルは驚いたような顔でこちらを向いて、悲しい――いや、どこか諦めたような苦笑を浮かべた。
「……さあ、何だったんだろう。友人……『だった』。昔は」
ロウェルは遠くを見るような目をして、外に視線を戻した。
その目は今もアレイストの方へ向いているのだろうか――。
2025/08/22 00:00:15
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全てが曖昧に通り過ぎていく。
セレンは、馬上の景色を見るともなく視界に映していた。
憤り、絶望、後悔――。それらはどこか遠くへ行ったらしく、今のセレンの胸に浮かんでくることはない。
疲れてしまった。
ただただ、大きな虚脱感が伸し掛かっている。
時間が歪んでしまっているのか、少し目を閉じただけのつもりだったのに、次に目を開いた時にはどこかの山中にいて、放置されて久しいらしい山小屋が目の前にあった。
「セレン、今晩はここで夜を明かす。明日は早く出るから、出来るだけ身体を休めておいてくれ」
「……そう」
ロウェルの言葉に頷きだけ返して、小屋の中に入った。
彼が手慣れた様子で埃を払い、寝床を用意する。
セレンがぼんやりとその様子を見つめていると、作業を済ませたロウェルが手を引いて、薄い毛布を肩に掛けてきた。
指示された場所に身を横たえて、じっと息を詰める。
ロウェルは窓辺に座って、厳しい顔で外を見つめていた。
この男の目的は何なのだろう。
もう信用なんてできない。でも――。
「あなたは、アレイストの何」
セレンは囁くような声で呟いた。
ロウェルは驚いたような顔でこちらを向いて、悲しい――いや、どこか諦めたような苦笑を浮かべた。
「……さあ、何だったんだろう。友人……『だった』。昔は」
ロウェルは遠くを見るような目をして、外に視線を戻した。
その目は今もアレイストの方へ向いているのだろうか――。