『嘘吐きな君と愛の口付けを』(仮題)初稿
01
――これから、誠心誠意お仕えさせていただきます、旦那様。
そう言って、はにかむように彼が笑った時から、いつかこんな夜が来ることは分かっていた。
「んぁ……っ!」
細い肢体を組み敷いたエルシスは、少年期を脱したばかりの華奢な青年の腕を掴み、半ば無理やり、己の欲望を彼の中に捻じ込んだ。
「やっ、まって……そんな――、ああんっ!!」
嬌声を上げる口を掴み、背後にいる自分の方を向かせる。
彼は、目に涙をいっぱいに浮かべて、焦点の定まらないままこちらを見た。
「初心な振りが随分と上手いな」
「振りじゃ……、ひあっ!」
首筋を舐めれば、一際高い声を上げて中が締まる。
「嘘をつくな。こういったことも仕込まれているんじゃないのか?」
「っぅ……」
顎を掴んでいた手を離せば、彼はベッドシーツに顔を擦り付けて、肩を震わせる。拳も握り締められて、快感に耐えているというよりも、本当に嫌なのを我慢しているように見えるのが不思議だった。
だが、それはあり得ない……はずだ。
エルシスは青年の中を穿ちながら、チラリと床に転がったままのナイフに視線を飛ばす。
「……ごしゅじんさま」
嬌声の合間に聞こえた涙混じりの呟きに、エルシスはハッとする。
一体、誰のことを呼んでいるのだか。
スッと目を細めたエルシスは、出来た補佐官であったはずの――このどこか詰めの甘いこの暗殺者に、苛立ち交じりの肉欲をぶつけたのだった。
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