初稿置き場
#愛する貴方と「番」を解消する方法(仮題)
#愛する貴方と「番」を解消する方法(仮題)_字コンテ
15
ルベルトと共に都へ戻った翌々日。
ユリスは久し振りの出仕に少々緊張しながら、城内を歩いていた。
ちなみに昨日はルベルトから、休むよう厳命されていたため一日家にいた。発情期も明けて、身体の熱も引いており、時折己の痴態を思い出しては頭を抱えていたが、今日からは仕事で気も紛れることだろう。
「あ。アストル、ちょうど良かった」
前方に自身の副官の姿を発見して、片手を上げる。
ルベルトの番となってしまって以降、どうしてもアルファやオメガとの接触には神経質になっているユリスだが、彼はベータということもあり、あの事件以降も気軽に声をかけられる相手だった。
「ユリス様、おはようございます。……ああ、いえ。おかえりなさいませ、の方が適切でしたか?」
ユリスはくすと笑って、少し肩の力が抜けるのを感じた。
「ああ。私がいない間、ありがとう。変わったことはなかったか?」
不在にしていた一週間ばかりの期間にあったことを聞いていく。
予想通り、普段の業務上での問題はなかったようだが、話題は件のオメガ子息の話へと移る。
「それで、殿下のご様子は?」
「さあ……。私の目からは、特に変わったご様子はありませんでしたが……。ユリス様にお会いになりたいようでしたよ」
「一昨日まで毎日顔を合わせていたのに……?」
「それほど、ご信頼なさっているのでしょう」
ユリスはアストルの言葉に曖昧に微笑んだ。
その後、いくつか引き継ぎの話をしてから、ユリスはルベルトの執務室へと向かう。
「おはようございます、殿下……」
そろっと扉を開けると、ルベルトは椅子を蹴倒して立ち上がった。
「ユリス! ああ、よかった、会いたかった」
「!? ちょ、でん……」
つかつかと歩み寄ってきたルベルトに、ぎゅうっときつく抱き締められる。
愛しいアルファの匂いに満たされて、とろんと目を閉じそうになって、ハッとする。
「っ、ばか! 殿下!! 仕事!」
「んん……もう少し……」
「もう少し、じゃないっ……!」
項を指で擽られ、膝が崩折れそうになる。散々交わって馴染んだ肌がもっとと求めるが、どうにか意志の力を総動員して、ルベルトの胸を押し返した。
「も、もうこんな所で抱かれる気は無いですからね!?」
そう言うと、さすがのルベルトも手を離す。
「それは、私も無い……。これでも反省してるだ」
しょぼんと肩を落とすルベルトに、うっかり絆されそうになるが、ユリスはぶんぶんと首を振って気持ちを切り替えた。
「それより! 結局どうだったんですか。会ったんでしょう?」
「ん? ああ、フィロー子息のこと? まあ、挨拶しただけだしなぁ……」
手を引かれてルベルトの机の方まで連れて行かれると、調査資料らしき紙束を渡された。
「さすが、元王太子の婚約者というかな。身分、経歴、共に問題なし。頭脳明晰、品行方正。非の打ち所のないご子息みたいだな」
「まぁ、王族に入られる予定だったのですし、その辺りは当然ですね……」
「だな。むしろ、婚約者として不出来な王子の補佐もしていた、っていう経歴がある分、今いる候補たちより一歩抜きん出てるくらいかも」
「……随分、褒めるんですね」
さすがに面白くなくて、ついぼそりと文句を言うと、ルベルトはきょとんと目を瞬かせた。
それから、ぶはっと吹き出した。
「嫉妬してくれてる?」
「な、あ……、違います!」
「娶る気がないからこそ、気楽に評価もできるんだよ」
「そ…れは……、わかってます…………」
ルベルトはユリスの手を取って、そこにキスをする。
「私の一番はお前だよ。ほら、おいで」
「っ……」
手を広げて待ち構えられると、拒否することなどできない。
おずおずと近付くと、ぐいっと引っ張られて膝の上に乗せられてしまった。
「で、殿下……! こんなところ、見られたら……」
「大丈夫、誰も来ないよ」
「あっ……」
後頭部を掴まれて引き寄せられる。
そして、軽く触れるだけのキスをした。
それ以上触れてこようとしないのに気付いて、閉じていた目を開けると、目尻にも口付けられる。
「まぁ……、さすがにこれ以上はな。途中で止められる自信がない」
「っ~~」
じゃあ、最初からしないでください! とは、どうしても言えないユリスだった。
2026/02/01 14:38:14
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ユリスは久し振りの出仕に少々緊張しながら、城内を歩いていた。
ちなみに昨日はルベルトから、休むよう厳命されていたため一日家にいた。発情期も明けて、身体の熱も引いており、時折己の痴態を思い出しては頭を抱えていたが、今日からは仕事で気も紛れることだろう。
「あ。アストル、ちょうど良かった」
前方に自身の副官の姿を発見して、片手を上げる。
ルベルトの番となってしまって以降、どうしてもアルファやオメガとの接触には神経質になっているユリスだが、彼はベータということもあり、あの事件以降も気軽に声をかけられる相手だった。
「ユリス様、おはようございます。……ああ、いえ。おかえりなさいませ、の方が適切でしたか?」
ユリスはくすと笑って、少し肩の力が抜けるのを感じた。
「ああ。私がいない間、ありがとう。変わったことはなかったか?」
不在にしていた一週間ばかりの期間にあったことを聞いていく。
予想通り、普段の業務上での問題はなかったようだが、話題は件のオメガ子息の話へと移る。
「それで、殿下のご様子は?」
「さあ……。私の目からは、特に変わったご様子はありませんでしたが……。ユリス様にお会いになりたいようでしたよ」
「一昨日まで毎日顔を合わせていたのに……?」
「それほど、ご信頼なさっているのでしょう」
ユリスはアストルの言葉に曖昧に微笑んだ。
その後、いくつか引き継ぎの話をしてから、ユリスはルベルトの執務室へと向かう。
「おはようございます、殿下……」
そろっと扉を開けると、ルベルトは椅子を蹴倒して立ち上がった。
「ユリス! ああ、よかった、会いたかった」
「!? ちょ、でん……」
つかつかと歩み寄ってきたルベルトに、ぎゅうっときつく抱き締められる。
愛しいアルファの匂いに満たされて、とろんと目を閉じそうになって、ハッとする。
「っ、ばか! 殿下!! 仕事!」
「んん……もう少し……」
「もう少し、じゃないっ……!」
項を指で擽られ、膝が崩折れそうになる。散々交わって馴染んだ肌がもっとと求めるが、どうにか意志の力を総動員して、ルベルトの胸を押し返した。
「も、もうこんな所で抱かれる気は無いですからね!?」
そう言うと、さすがのルベルトも手を離す。
「それは、私も無い……。これでも反省してるだ」
しょぼんと肩を落とすルベルトに、うっかり絆されそうになるが、ユリスはぶんぶんと首を振って気持ちを切り替えた。
「それより! 結局どうだったんですか。会ったんでしょう?」
「ん? ああ、フィロー子息のこと? まあ、挨拶しただけだしなぁ……」
手を引かれてルベルトの机の方まで連れて行かれると、調査資料らしき紙束を渡された。
「さすが、元王太子の婚約者というかな。身分、経歴、共に問題なし。頭脳明晰、品行方正。非の打ち所のないご子息みたいだな」
「まぁ、王族に入られる予定だったのですし、その辺りは当然ですね……」
「だな。むしろ、婚約者として不出来な王子の補佐もしていた、っていう経歴がある分、今いる候補たちより一歩抜きん出てるくらいかも」
「……随分、褒めるんですね」
さすがに面白くなくて、ついぼそりと文句を言うと、ルベルトはきょとんと目を瞬かせた。
それから、ぶはっと吹き出した。
「嫉妬してくれてる?」
「な、あ……、違います!」
「娶る気がないからこそ、気楽に評価もできるんだよ」
「そ…れは……、わかってます…………」
ルベルトはユリスの手を取って、そこにキスをする。
「私の一番はお前だよ。ほら、おいで」
「っ……」
手を広げて待ち構えられると、拒否することなどできない。
おずおずと近付くと、ぐいっと引っ張られて膝の上に乗せられてしまった。
「で、殿下……! こんなところ、見られたら……」
「大丈夫、誰も来ないよ」
「あっ……」
後頭部を掴まれて引き寄せられる。
そして、軽く触れるだけのキスをした。
それ以上触れてこようとしないのに気付いて、閉じていた目を開けると、目尻にも口付けられる。
「まぁ……、さすがにこれ以上はな。途中で止められる自信がない」
「っ~~」
じゃあ、最初からしないでください! とは、どうしても言えないユリスだった。