初稿置き場
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玉座の憧憬 本編:小説・男女恋愛
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ツンデレ王子様の結婚事情:漫画(字コンテ)・BL
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#玉座の憧憬_本編 4
「よーし、ざっとこんなもんだな」
剣を納め、手をパンパンと払った茶髪の男は、セレンの法を向いて、ニカッと笑った。
「……助太刀、感謝する」
「いやいや、礼には及ばないよ」
そう言って朗らかに微笑む男に、セレンは眉根を寄せる。
正直、とても怪しい。
セレンは危ういところを助けられたのは事実だし、彼が乱入してからというものの、余程腕が立つのかあっという間に戦況をひっくり返してしまった。怪我人こそいるものの、セレンたちは賊から難を逃れることができた。
ありがたいと思っているのは事実だったが、腕の立つ旅人がそう偶然に通りがかるものだろうか。
「それで、貴方は一体――」
セレンが男に問いかけよとした時、彼はセレンの更に背後を見て、手を上げた。
「遅かったじゃないか! もう終わったぞ」
セレンが振り返ると、こちらへ歩いてくる淡い金髪の男が見えた。彼は微かに眉根を寄せて、茶髪の男を睨む。
「貴方が勝手に突っ込んで行ったんでしょう! それに、あっちには弓兵がいたんですよ!」
そういえば、いつからか弓矢が飛んで来なくなっていた。口振りから察するに、この金髪の青年が倒してくれたのだろう。
セレンは彼にも頭を下げる。
「危ないところを助けられた。感謝する。それで、貴方がたは何者だ?」
セレンの問いに答えたのは、茶髪の男だった。
「俺ら、傭兵みたいなことやってんの。ここにはたまたま通りがかったんだけど、物騒な音が聞こえて来てみれば、身分の高そうな人が襲われてるし、これは助けなければ――、ってね」
片目を瞑る男に、セレンはつい胡乱げな視線を送る。
なんとも調子のよい男だ。
「それで、お嬢さん? あんたらはこれからどこへ行くんだ?」
「……何故、そんなことを聞く」
警戒心を滲ませて問い返すと、彼は飄々とした様子を崩さずに肩を竦めた。
「なに。ここで会ったのも何かの縁だろう? 怪我人もいることだし、道中の用心号にいかがかな、と思ってさ」
申し出は悪い話ではなかった。
だが、どこか疑念が拭えずにセレンはそれを断ろうと口を開く。
しかしそれよりも早く言葉を発したのは、金髪の男だった。
「――私は嫌です」
「えぇっ!? いいじゃんかよ。こんな美人が困ってんだぞ?」
茶髪の男はセレンに視線を向けながらそんなことを言う。だが、金髪の男は首を横に降った。
「行くなら、どうぞお一人で」
そう言い放つと、彼は踵を返してすたすたとその場を去っていった。
「おーおー、そうかい。なら一人でも行くもんね」
べー、と舌を出す男に、セレンの方が驚いてしまう。
「お、追いかけなくいいのか……?」
「いいのいいの。こういうのしょっちゅうだし」
二人がどういう関係なの以下よく分からず、セレンは金髪の男が去っていった方向と、茶髪の男を見比べる。
「それで、俺を雇う気はある?」
セレンは小首を傾げる男に、口を引き結んだ。
そして、迷った末に口を開く。
「断る」
「そんなぁ……」
悲しい顔をする男に、セレンは仕方なく続ける。
「――が、礼くらいはしよう。とりあえず、次の町まではついて来てくれ」
「お! さっすが、お嬢さん! そうこなくっちゃな」
嬉しそうに拳を握る男に、セレンはまた呆れたように肩を竦めたのだった。