初稿置き場
#愛する貴方と「番」を解消する方法(仮題)
#愛する貴方と「番」を解消する方法(仮題)_字コンテ
6
ユリスは暗い気分のまま、馬車を降りた。
これから何日続くか分からない発情を一人で乗り越えなければいけない。薬で収まっている今のうちに、できる準備をしておかねば。
だが、こういう時に限って間の悪いもので、玄関扉を開けたユリスは、そのまま固まってしまった。
「……アンジェリア」
名前を呼ばれた彼女――六つ年下の妹アンジェリアは、微かに眉をひそめた。
「随分とお早いお帰りですのね、お兄様」
「うん……。その、体調が…悪くなって。帰らせてもらった」
「そうですの」
ユリスは深く追及される前に、彼女の横を通り過ぎようとした。しかし――
「お待ちなさいませ」
振り返ると、彼女はしかめっ面をしながら、ユリスに近付いてくる。
「な、なに……」
「じっとなさい」
アンジェリアは、すんとユリスの首元で鼻をならす。そして、ますます眉間に皺を寄せた。
「お兄様……、どこの馬の骨と番って参りましたの」
「!」
ハッとして一歩後ずさるが、何も答えられなかった。
そうだ。彼女はアルファ。血縁者は血が近ければ近いほど発情の誘発を受けることはないが、当然、ユリスの発するフェロモンの違いには気付く。
「お兄様」
「それは、その……」
はくはくと口を開閉させるが、何も言葉が出てこない。
アンジェリアは目を眇めて、ユリスの様子を探るように見つめると、小さく溜息をついた。
「まあ、いいです。答えたくなければ。興味もありませんし。ですが――」
彼女は一呼吸おいて、じっとユリスを見上げながら言った。
「お父様とはお会いになられない方が良いでしょうね。何故かは、分かりますわね」
「……うん」
「なら結構」
それだけ言うと、アンジェリアは身を翻して去って行った。
ユリスはその背中をただ見送るしかできなかった。
2026/02/01 14:26:45
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ユリスは暗い気分のまま、馬車を降りた。
これから何日続くか分からない発情を一人で乗り越えなければいけない。薬で収まっている今のうちに、できる準備をしておかねば。
だが、こういう時に限って間の悪いもので、玄関扉を開けたユリスは、そのまま固まってしまった。
「……アンジェリア」
名前を呼ばれた彼女――六つ年下の妹アンジェリアは、微かに眉をひそめた。
「随分とお早いお帰りですのね、お兄様」
「うん……。その、体調が…悪くなって。帰らせてもらった」
「そうですの」
ユリスは深く追及される前に、彼女の横を通り過ぎようとした。しかし――
「お待ちなさいませ」
振り返ると、彼女はしかめっ面をしながら、ユリスに近付いてくる。
「な、なに……」
「じっとなさい」
アンジェリアは、すんとユリスの首元で鼻をならす。そして、ますます眉間に皺を寄せた。
「お兄様……、どこの馬の骨と番って参りましたの」
「!」
ハッとして一歩後ずさるが、何も答えられなかった。
そうだ。彼女はアルファ。血縁者は血が近ければ近いほど発情の誘発を受けることはないが、当然、ユリスの発するフェロモンの違いには気付く。
「お兄様」
「それは、その……」
はくはくと口を開閉させるが、何も言葉が出てこない。
アンジェリアは目を眇めて、ユリスの様子を探るように見つめると、小さく溜息をついた。
「まあ、いいです。答えたくなければ。興味もありませんし。ですが――」
彼女は一呼吸おいて、じっとユリスを見上げながら言った。
「お父様とはお会いになられない方が良いでしょうね。何故かは、分かりますわね」
「……うん」
「なら結構」
それだけ言うと、アンジェリアは身を翻して去って行った。
ユリスはその背中をただ見送るしかできなかった。