初稿置き場
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玉座の憧憬 本編:小説・男女恋愛
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ツンデレ王子様の結婚事情:漫画(字コンテ)・BL
玉座の憧憬 アレイスト×セレンIF:小説・男女恋愛・バッドエンド・R18・本編読了後推奨
玉座の憧憬 ロウェル×アレイストIF:小説・BL・R18・本編読了後推奨
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玉座の憧憬 ロウェル×アレイストIF:小説・BL・R18・本編読了後推奨
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改稿版完結
#愛する貴方と「番」を解消する方法(仮題)_字コンテ 2
この世界の人間には男女の別と、もう一つ「性」が存在する。
国民の大半は「ベータ」と呼ばれる、特筆すべき特徴のない人々。
「――閣下、資料をお持ち致しました」
「ありがとう」
ユリスは自身の副官に礼を述べながら、その紙束を受け取る。
下位貴族出身の彼も、ベータの一人だ。
「ユリス」
「はい、殿下」
ユリスは顔を上げて、声のした方を見る。
金髪の輝く髪に、深い青の瞳をした青年は、いたずらっ子のような笑みを浮かべた。
「二人の時に『殿下』はやめろって、言ってるだろ~?」
「え、ああ……」
いつの間にか、副官が消えていることに気付いて、ユリスは仕方なさそうな振りをして、言い直した。
「ルベルト様」
よしと満足そうに笑む彼から、ユリスはそっと目を逸らす。
こちらの気持ちなんてお構いなしな自信に満ちたその表情は、なんとも王族――、そして「アルファ」らしい。
彼ら、アルファ性の者たちは、ベータに比べ様々な能力が優れているとされ、過去には酷い選民思想を持った国さえあったほど、この世界を牛耳っている者たちと言ってよいだろう。
そして、もう一つ――。
「それで、ユリス。それは何の資料だ?」
「隣国の『オメガ保護法』についてのものです』
アルファ、ベータ、そしてオメガ。
この三つが、男女性とは別に存在する三性だ。
オメガは――、長らく社会的地位が著しく低く貶められていた。
男女共に妊娠ができるという特異性もさることながら、「発情期」と呼ばれる三ヶ月に一度程のペースで訪れる期間があることが原因だろう。
発情期の名の通り、その期間に入ったオメガは、社会生活を営むこと自体が難しくなる。加えて、その時に発せられるフェロモンは他者にも影響して、アルファの発情を誘発してしまうのだ。
そんな性質故に、オメガ達は性の捌け口に利用され、まともな職にも就くことができない不遇の時代が長く続いた。
それに変化があったのが、数十年前に開発された「抑制剤」の登場だ。
その薬は、オメガの発情をある程度抑え、強力なものならば、殆ど発情期の影響を受けなくなる。
それにより、ようやく社会進出が進み、法も整えられてきたのが現在だ。
「隣国のオメガ保護について? なんでまた」
「最近、オメガの国王が誕生したでしょう? そのせいか、あの国はかなり先進的な施策を打ち出しています。参考になるかと」
「あぁ~、老害クソジジイ共が、『オメガに権利をやるなんて』って、ご立腹だからな」
「えぇ。このままでは他国に置いてゆかれます」
ユリスはスッとルベルトから視線を逸らした。
「反対派は――アルファは、オメガを子を成す道具としてしか見ていませんから」
アルファとオメガの間には、「番」という特殊な関係性が存在する。発情期のオメガとの性交中に、その首筋をアルファが噛むことで成立するそれは、両者のフェロモンを互いにしか効かなくする効果がある。
抑制剤が開発される以前は、オメガが安全に日常生活を送るための、唯一の手段だった――。
「おいおい、私たちも『アルファ』だろ?」
ユリスは弾かれたように顔を上げた。
「あ、その……。殿下のことをそう思っているわけでは」
「はは、分かってるよ。それより、早くそれを読んで、私にも回してくれ」
「……読まれるのですか?」
「私は『老害クソジジイ』じゃないんでね」
冗談混じりにそう言ったルベルトに、ユリスは愛想笑いを返して、資料に目を落とした。
(……「私たちもアルファ」か)
ユリスは無意識に項を指で辿る。
(俺は、殿下に大きな嘘を吐いている……)