国内有数の湖水地帯フーデリアの地方楽団出身の齢十八の少年は、王宮楽団の訓練生になると、みるみる頭角を現し、およそ一年で王宮楽団楽士の十五名の一人に選ばれた。この早さでの昇進は、楽士では初めての偉業であり、王宮楽団員の中でも、同時期の一ノ姫と二人目快挙だった。
こうして楽士は、自分を見出した舞姫と再び再会する―――