初稿置き場
カテゴリ「誓約の姫」
ゲームシナリオ・男女恋愛2026/02/01 15:26:00
#誓約の姫 政略結婚について
//背景:主人公部屋・夕
オリヴィエ「お帰りなさいませ、お嬢様」
マリア「オリヴィエ……」
自邸へと戻ってきたマリアは、オリヴィエの笑顔にほっとしたような、泣きたいような気持ちになる。
マリア「みんな、今回のこと知っていたのね?」
オリヴィエ「……そう、ですね。王太子殿下の想いに、気付いてらっしゃった方は多いかと」
マリア「私、全く知らなかったわ……」
オリヴィエ「お嬢様……」
どこか、自分だけが置いて行かれたような。
マリアはそんな気持ちでいっぱいだった。
ハインからの言葉も、上手く呑み込めないままだ。彼の言葉は優しかったけれど、一言も「断っていい」とは言わなかった。
王太子と公爵家の縁談。これは紛れもない「政略結婚」で、そこにマリア個人の意思は関係ない。
マリア「…………」
オリヴィエ「お嬢様」
マリア「なあに?」
オリヴィエ「王太子殿下との婚姻は……、お嫌ですか?」
マリア「……!」
分岐1
A:「……仕方がないことよ」
B:「正直に言うならば、嫌……なのかもしれないわ」
分岐1-A
A:「……仕方がないことよ」
マリア「だってそうでしょう?お父様が決めたことだもの」
オリヴィエ「そんな……」
マリア「いいのよ、オリヴィエ」
マリア「それに、王太子殿下に望まれて嫁ぐことができるだなんて、きっと幸せなことだわ」
それに彼は知らぬ相手でもない。誰とも知れぬ人間を夫にするよりは、よほど幸せになれるはずだ。
ただ、自身の気持ちが付いて来ていない、というだけで。
分岐1-B
B:「正直に言うならば、嫌……なのかもしれないわ」
マリア「だって、これまで一度だって、ハイン殿下のことを、そんな風に見たことがないのだもの……」
よく考えれば、公爵家の姫として王太子に嫁ぐ、というのは特段奇異なことではない。
だが、そのことを意識せずに来たのは、国王の妹――当時は王女だった母が、アシュフォード家に降嫁しており、マリアまで王家に嫁げば、この家があまりに王家と近くなってしまう、と危惧されていたからだ。
しかしハインは、それを押してまで、自身を妃にと望んでくれた――。
そのこと自体は「嫌」ではないけれど、これからどう変わっていってしまうのか、それが分からなくて、少し怖い……。
分岐終了
オリヴィエ「お嬢様……」
オリヴィエ「そうです。少し気晴らしでもなさったらいかがでしょう?」
マリア「そうね……」
分岐2
A:「じゃあ、部屋で刺繍でもしているわ」
B:「だったら、少し庭を散歩でもしようかしら」
C:「でも今日は疲れたから、もう休むわね」
オリヴィエ「わかりました。では、お支度を――」
//背景:主人公部屋・夕
オリヴィエ「お帰りなさいませ、お嬢様」
マリア「オリヴィエ……」
自邸へと戻ってきたマリアは、オリヴィエの笑顔にほっとしたような、泣きたいような気持ちになる。
マリア「みんな、今回のこと知っていたのね?」
オリヴィエ「……そう、ですね。王太子殿下の想いに、気付いてらっしゃった方は多いかと」
マリア「私、全く知らなかったわ……」
オリヴィエ「お嬢様……」
どこか、自分だけが置いて行かれたような。
マリアはそんな気持ちでいっぱいだった。
ハインからの言葉も、上手く呑み込めないままだ。彼の言葉は優しかったけれど、一言も「断っていい」とは言わなかった。
王太子と公爵家の縁談。これは紛れもない「政略結婚」で、そこにマリア個人の意思は関係ない。
マリア「…………」
オリヴィエ「お嬢様」
マリア「なあに?」
オリヴィエ「王太子殿下との婚姻は……、お嫌ですか?」
マリア「……!」
分岐1
A:「……仕方がないことよ」
B:「正直に言うならば、嫌……なのかもしれないわ」
分岐1-A
A:「……仕方がないことよ」
マリア「だってそうでしょう?お父様が決めたことだもの」
オリヴィエ「そんな……」
マリア「いいのよ、オリヴィエ」
マリア「それに、王太子殿下に望まれて嫁ぐことができるだなんて、きっと幸せなことだわ」
それに彼は知らぬ相手でもない。誰とも知れぬ人間を夫にするよりは、よほど幸せになれるはずだ。
ただ、自身の気持ちが付いて来ていない、というだけで。
分岐1-B
B:「正直に言うならば、嫌……なのかもしれないわ」
マリア「だって、これまで一度だって、ハイン殿下のことを、そんな風に見たことがないのだもの……」
よく考えれば、公爵家の姫として王太子に嫁ぐ、というのは特段奇異なことではない。
だが、そのことを意識せずに来たのは、国王の妹――当時は王女だった母が、アシュフォード家に降嫁しており、マリアまで王家に嫁げば、この家があまりに王家と近くなってしまう、と危惧されていたからだ。
しかしハインは、それを押してまで、自身を妃にと望んでくれた――。
そのこと自体は「嫌」ではないけれど、これからどう変わっていってしまうのか、それが分からなくて、少し怖い……。
分岐終了
オリヴィエ「お嬢様……」
オリヴィエ「そうです。少し気晴らしでもなさったらいかがでしょう?」
マリア「そうね……」
分岐2
A:「じゃあ、部屋で刺繍でもしているわ」
B:「だったら、少し庭を散歩でもしようかしら」
C:「でも今日は疲れたから、もう休むわね」
オリヴィエ「わかりました。では、お支度を――」
2026/02/01 15:11:10
#誓約の姫 オープニング4
//背景:王宮・応接室・昼
ウィルに連れられ、マリアが辿り着いたのは、国王の私的な応接室だった。
扉の前でウィルと別れ、一人室内に足を踏み入れて、今に至る。
マリア「アシュフォード公爵家が一女マリアが、国王陛下、並びに王太子殿下にご挨拶申し上げます」
数年ぶりにこれほど間近で顔を合わせた二人に、マリアが頭を下げると、王太子ハインがパッと立ち上がった。
ハイン「久し振りだね、マリア! そう堅苦しくしなくていいよ。さあ、顔を上げて」
マリア「お、お久し振りです、殿下」
ハイン「本当にね。変わりないようで安心したよ」
マリア「はい、殿下も……」
ハインにどうしてか、ぎゅっと手を握られて、マリアは少々困惑する。
マリア「あ、あの……。少し近い、ような……?」
ロベルト「ああ、それなんだがな、マリア――」
ハイン「アシュフォード卿」
ハイン「それは、僕の口から言わせてください」
マリア「?」
提案にロベルトが頷くと、ハインはもったいつけるように咳払いをしてから言った。
ハイン「マリア」
マリア「は、はい」
ハイン「僕と君との婚約が、ついに正式に決まった」
マリア「え……」
ハイン「王妹を母に持つ君とは、血が近すぎるんじゃないか、って周囲に渋られていたんだけどね。やっと説得できたんだ。僕の奥さんは君が良かったから」
マリア「え、えっと……」
突然の事態におろおろしていると、ハインが苦笑しながら握っていた手を離した。
ハイン「ごめん、突然だったよね。でも、絶対幸せにする。だから、実際に籍を入れるその日までに、ゆっくり心の準備をしてほしい」
マリア「……はい」
あまりにことに困惑して、マリアはそう答えるので精一杯だった。
//背景:王宮・応接室・昼
ウィルに連れられ、マリアが辿り着いたのは、国王の私的な応接室だった。
扉の前でウィルと別れ、一人室内に足を踏み入れて、今に至る。
マリア「アシュフォード公爵家が一女マリアが、国王陛下、並びに王太子殿下にご挨拶申し上げます」
数年ぶりにこれほど間近で顔を合わせた二人に、マリアが頭を下げると、王太子ハインがパッと立ち上がった。
ハイン「久し振りだね、マリア! そう堅苦しくしなくていいよ。さあ、顔を上げて」
マリア「お、お久し振りです、殿下」
ハイン「本当にね。変わりないようで安心したよ」
マリア「はい、殿下も……」
ハインにどうしてか、ぎゅっと手を握られて、マリアは少々困惑する。
マリア「あ、あの……。少し近い、ような……?」
ロベルト「ああ、それなんだがな、マリア――」
ハイン「アシュフォード卿」
ハイン「それは、僕の口から言わせてください」
マリア「?」
提案にロベルトが頷くと、ハインはもったいつけるように咳払いをしてから言った。
ハイン「マリア」
マリア「は、はい」
ハイン「僕と君との婚約が、ついに正式に決まった」
マリア「え……」
ハイン「王妹を母に持つ君とは、血が近すぎるんじゃないか、って周囲に渋られていたんだけどね。やっと説得できたんだ。僕の奥さんは君が良かったから」
マリア「え、えっと……」
突然の事態におろおろしていると、ハインが苦笑しながら握っていた手を離した。
ハイン「ごめん、突然だったよね。でも、絶対幸せにする。だから、実際に籍を入れるその日までに、ゆっくり心の準備をしてほしい」
マリア「……はい」
あまりにことに困惑して、マリアはそう答えるので精一杯だった。
2026/02/01 15:03:58
#誓約の姫 オープニング3
//背景:王宮・廊下・昼
マリア(随分と久し振りに来た気がするわ……)
ロベルトの後を追いながら歩くマリアは、視線だけを動かしながら、周囲を見渡す。幼少期は従兄でもある王太子と遊ぶため、頻繁に訪れていたものだが、ここ数年はさっぱりだった。
ロベルト「おや。ウィルくんじゃないか」
ウィル「これは、ご無沙汰しております。アシュフォード卿。それから、マリア姫も」
マリア「え、えぇ……」
ウィル「本日はどうなさったのですか、卿?」
ロベルト「いや、実は『あの件』が正式に決まったそうでね」
ウィル「!」
マリア(……『あの件』?)
ウィル「……そうでしたか。それは、急ぎ参内されるのも納得です。ですが……」
ウィルがこちらに視線を向ける。
ウィル「それならば、いきなり姫同席の元にお話しなさるのは、些か急が過ぎるのでは? 見たところ、姫にはまだ何も仰っていないようですし」
ロベルト「う、うむ……。たしかに」
ウィル「ひとまず、卿だけでお話なされては? 頃合いを見て、俺が姫をお連れしますよ」
ロベルト「…………」
ウィルの提案に、しばし悩む様子を見せたロベルトだったが、次の瞬間には笑顔で顔を上げた。
ロベルト「そうだな。では、ウィルくんの言う通りにしよう! 君ならば、安心できる」
ロベルト「ではマリア、ウィルく――、おっと……、王宮に仕える騎士殿をいつまでも「くん」呼びするのは失礼だった。アルジェリス卿と後から来なさい」
マリア「あっ、お父様!?」
さっさと立ち去っていったロベルトを、マリアは呆然と見送るしかできなかった。
マリア「…………」
マリア「……それで、どうして父を遠ざけましたの?」
ウィル「ん? 何のことだ?」
先程までとは打って変わり、気安い態度になったウィルに、マリアは肩を竦めた。
マリア「とぼけるなら……、まあいいです」
マリア「貴方とも随分お久し振りですね、ウィル様」
ウィル「まあ、ガキの頃とは違うからな」
マリア「そうですね」
ウィルとは、いわゆる「幼馴染」だ。
とはいっても、狭い貴族社会で年回りの近い、家格も近い子供たちが顔見知りなのは、当然と言えば当然だ。結婚を意識するような年回りに近付くごとに交流は薄くなって、こうして顔を合わせたのは何年ぶりだろう。
マリア「騎士になった、って聞いてましたけど……。こうしてみると、なかなか板についていますね」
ウィル「まぁな。そういうお前も、すっかり『淑女』だな」
ウィル「馬子にも衣装?」
マリア「……バカにしてます?」
ウィル「ハハ、冗談冗談。あんま怒んなよ。かわいい顔が台無しだぜ?」
ぽんぽんと頭に乗せられた手に、ますますムッとする。
マリア「もう、いっつも子ども扱いして……。それより、そろそろ行かなくて良いのですか? 何の話なのかは知りませんが、私にも関係のあるお話なのでしょう? あまり、お待たせしては――」
ウィル「…………」
マリア「な、なんですか……?」
ウィル「……いや、なんでも。そんな時期か、って思ってさ」
マリア「え?」
ウィル「なんでもねーよ。行こうか、マリアの言う通り、あんまり陛下をお待たせするのもな」
マリア「あっ、ま、待ってください……!」
マリア(どういう意味……?)
しかし、ウィルがその疑問に答えてくれることはなく、あっという間に、国王の待つ部屋へと連れていかれたのだった。
//背景:王宮・廊下・昼
マリア(随分と久し振りに来た気がするわ……)
ロベルトの後を追いながら歩くマリアは、視線だけを動かしながら、周囲を見渡す。幼少期は従兄でもある王太子と遊ぶため、頻繁に訪れていたものだが、ここ数年はさっぱりだった。
ロベルト「おや。ウィルくんじゃないか」
ウィル「これは、ご無沙汰しております。アシュフォード卿。それから、マリア姫も」
マリア「え、えぇ……」
ウィル「本日はどうなさったのですか、卿?」
ロベルト「いや、実は『あの件』が正式に決まったそうでね」
ウィル「!」
マリア(……『あの件』?)
ウィル「……そうでしたか。それは、急ぎ参内されるのも納得です。ですが……」
ウィルがこちらに視線を向ける。
ウィル「それならば、いきなり姫同席の元にお話しなさるのは、些か急が過ぎるのでは? 見たところ、姫にはまだ何も仰っていないようですし」
ロベルト「う、うむ……。たしかに」
ウィル「ひとまず、卿だけでお話なされては? 頃合いを見て、俺が姫をお連れしますよ」
ロベルト「…………」
ウィルの提案に、しばし悩む様子を見せたロベルトだったが、次の瞬間には笑顔で顔を上げた。
ロベルト「そうだな。では、ウィルくんの言う通りにしよう! 君ならば、安心できる」
ロベルト「ではマリア、ウィルく――、おっと……、王宮に仕える騎士殿をいつまでも「くん」呼びするのは失礼だった。アルジェリス卿と後から来なさい」
マリア「あっ、お父様!?」
さっさと立ち去っていったロベルトを、マリアは呆然と見送るしかできなかった。
マリア「…………」
マリア「……それで、どうして父を遠ざけましたの?」
ウィル「ん? 何のことだ?」
先程までとは打って変わり、気安い態度になったウィルに、マリアは肩を竦めた。
マリア「とぼけるなら……、まあいいです」
マリア「貴方とも随分お久し振りですね、ウィル様」
ウィル「まあ、ガキの頃とは違うからな」
マリア「そうですね」
ウィルとは、いわゆる「幼馴染」だ。
とはいっても、狭い貴族社会で年回りの近い、家格も近い子供たちが顔見知りなのは、当然と言えば当然だ。結婚を意識するような年回りに近付くごとに交流は薄くなって、こうして顔を合わせたのは何年ぶりだろう。
マリア「騎士になった、って聞いてましたけど……。こうしてみると、なかなか板についていますね」
ウィル「まぁな。そういうお前も、すっかり『淑女』だな」
ウィル「馬子にも衣装?」
マリア「……バカにしてます?」
ウィル「ハハ、冗談冗談。あんま怒んなよ。かわいい顔が台無しだぜ?」
ぽんぽんと頭に乗せられた手に、ますますムッとする。
マリア「もう、いっつも子ども扱いして……。それより、そろそろ行かなくて良いのですか? 何の話なのかは知りませんが、私にも関係のあるお話なのでしょう? あまり、お待たせしては――」
ウィル「…………」
マリア「な、なんですか……?」
ウィル「……いや、なんでも。そんな時期か、って思ってさ」
マリア「え?」
ウィル「なんでもねーよ。行こうか、マリアの言う通り、あんまり陛下をお待たせするのもな」
マリア「あっ、ま、待ってください……!」
マリア(どういう意味……?)
しかし、ウィルがその疑問に答えてくれることはなく、あっという間に、国王の待つ部屋へと連れていかれたのだった。
2026/02/01 15:00:32
#誓約の姫 オープニング2
//背景:アシュフォード邸・廊下・昼
???「姉上? 今日は部屋で本を読んでお過ごしだったのでは?」
マリア「アレス……。それが、お父様に呼ばれてしまって」
アレス「父上に? そうですか……。もしかして、あの話かな……」
マリア「『あの話』……?」
アレス「……いえ、僕の口からは。違うかもしれませんし」
マリア(アレスもオリヴィエも、どうしてそんな顔をするのかしら……)
アレス「すみません。不安にさせましたね。大丈夫ですよ。父上が姉上を不幸せにするような選択をなさるはずがないでしょう?」
マリア「それは……、そうだけれど」
アレス「さあ、もう行ってください。父上をお待たせしているのでしょう?」
マリア「え、ええ……」
アレス「オリヴィエ、姉上を頼んだよ」
オリヴィエ「もちろんでございます、アレス様」
//アレス:消去
マリア「…………」
オリヴィエ「さあ、参りましょうか。お嬢様?」
マリア「……そうね」
//場転エフェクト
アレスと別れたマリアは、不安な気持ちのまま、ついに父ロベルトの書斎へと辿り着いた。
//SE:ノックの音
オリヴィエ「旦那様、マリアお嬢様をお連れいたしました」
ロベルト「うむ、入ってきなさい」
//アシュフォード邸・書斎・昼
オリヴィエに背を押されるように、マリアは書斎の中へと足を踏み入れた。
マリア(お父様のご様子は、普段と変わらないわ……)
普段と同じ優しい笑みを浮かべる父に安堵しつつ、マリアはおそるおそる問いかけた。
マリア「お父様、お話って? 急にどうなさいましたの?」
ロベルト「うん。実は、これから内々に王宮へ招かれていてね。お前もぜひ一緒に、とのことで、呼んでもらったんだ」
マリア「わ、私もですか?」
ロベルト「そうだよ。早く支度をしてくるといい。急な呼びたてだから、と服装は拘らないそうだから」
マリア「えっと、わかりました……」
マリアは困惑しつつも、支度のため部屋に戻ろうとする。
マリア(お父様……、とってもご機嫌でらっしゃるわ……)
父が嬉しそうなのは、決して悪いことではないはずなのに。
マリアは言い知れぬ不安が膨らむのを感じていた。
//背景:アシュフォード邸・廊下・昼
???「姉上? 今日は部屋で本を読んでお過ごしだったのでは?」
マリア「アレス……。それが、お父様に呼ばれてしまって」
アレス「父上に? そうですか……。もしかして、あの話かな……」
マリア「『あの話』……?」
アレス「……いえ、僕の口からは。違うかもしれませんし」
マリア(アレスもオリヴィエも、どうしてそんな顔をするのかしら……)
アレス「すみません。不安にさせましたね。大丈夫ですよ。父上が姉上を不幸せにするような選択をなさるはずがないでしょう?」
マリア「それは……、そうだけれど」
アレス「さあ、もう行ってください。父上をお待たせしているのでしょう?」
マリア「え、ええ……」
アレス「オリヴィエ、姉上を頼んだよ」
オリヴィエ「もちろんでございます、アレス様」
//アレス:消去
マリア「…………」
オリヴィエ「さあ、参りましょうか。お嬢様?」
マリア「……そうね」
//場転エフェクト
アレスと別れたマリアは、不安な気持ちのまま、ついに父ロベルトの書斎へと辿り着いた。
//SE:ノックの音
オリヴィエ「旦那様、マリアお嬢様をお連れいたしました」
ロベルト「うむ、入ってきなさい」
//アシュフォード邸・書斎・昼
オリヴィエに背を押されるように、マリアは書斎の中へと足を踏み入れた。
マリア(お父様のご様子は、普段と変わらないわ……)
普段と同じ優しい笑みを浮かべる父に安堵しつつ、マリアはおそるおそる問いかけた。
マリア「お父様、お話って? 急にどうなさいましたの?」
ロベルト「うん。実は、これから内々に王宮へ招かれていてね。お前もぜひ一緒に、とのことで、呼んでもらったんだ」
マリア「わ、私もですか?」
ロベルト「そうだよ。早く支度をしてくるといい。急な呼びたてだから、と服装は拘らないそうだから」
マリア「えっと、わかりました……」
マリアは困惑しつつも、支度のため部屋に戻ろうとする。
マリア(お父様……、とってもご機嫌でらっしゃるわ……)
父が嬉しそうなのは、決して悪いことではないはずなのに。
マリアは言い知れぬ不安が膨らむのを感じていた。
2025/09/16 00:00:00
#誓約の姫 オープニング1
//背景:空・昼
マリア「今日もいい天気ね……」
//背景:主人公部屋・昼
ローゼンダルク王国の穏やかな昼下がり。アシュフォード家の令嬢マリアは、秋めいてきた空に目を細めた。
//SE:ノックの音
???「失礼いたします」
マリア「あら、エゼル」
エゼル「紅茶をお持ちいたしました、お嬢様」
マリア「ありがとう。……いつ見ても、綺麗に入れるわね」
エゼル「恐縮です」
マリアは目の前に置かれた湯気を立てるティーカップを持ち上げる。
マリア「ふふ、いい香り。エゼル、あなたも一緒にお茶をしない?」
エゼル「…………いいえ、お嬢様。一介の使用人が主家の令嬢と同じ席につくなど、許されません」
マリア「固いことを言わないで。どうしても駄目かしら?」
エゼル「………………それが、ご命令であれば」
マリア「そういうわけじゃ――」
SE:ノックの音
マリア「は、はいっ!?」
???「お嬢様、少しよろしいでしょうか?」
マリア「その声はオリヴィエ? ええ、どうぞ。どうしたの?」
オリヴィエ「失礼いたします」
マリア「何か…あったの……?」
マリアは、幼少期からの友人でもあるオリヴィエの、珍しい曇り顔に不安を覚える。
オリヴィエ「実は、旦那様が至急お部屋まで来るように、と」
マリア「お父様が……?」
マリア(それだけでこんな顔をするなんて――。どんなご用事なの……?)
マリアは不安が一層増幅するのを感じながらも、父の呼び出しに応えるべく、立ち上がった。
//背景:空・昼
マリア「今日もいい天気ね……」
//背景:主人公部屋・昼
ローゼンダルク王国の穏やかな昼下がり。アシュフォード家の令嬢マリアは、秋めいてきた空に目を細めた。
//SE:ノックの音
???「失礼いたします」
マリア「あら、エゼル」
エゼル「紅茶をお持ちいたしました、お嬢様」
マリア「ありがとう。……いつ見ても、綺麗に入れるわね」
エゼル「恐縮です」
マリアは目の前に置かれた湯気を立てるティーカップを持ち上げる。
マリア「ふふ、いい香り。エゼル、あなたも一緒にお茶をしない?」
エゼル「…………いいえ、お嬢様。一介の使用人が主家の令嬢と同じ席につくなど、許されません」
マリア「固いことを言わないで。どうしても駄目かしら?」
エゼル「………………それが、ご命令であれば」
マリア「そういうわけじゃ――」
SE:ノックの音
マリア「は、はいっ!?」
???「お嬢様、少しよろしいでしょうか?」
マリア「その声はオリヴィエ? ええ、どうぞ。どうしたの?」
オリヴィエ「失礼いたします」
マリア「何か…あったの……?」
マリアは、幼少期からの友人でもあるオリヴィエの、珍しい曇り顔に不安を覚える。
オリヴィエ「実は、旦那様が至急お部屋まで来るように、と」
マリア「お父様が……?」
マリア(それだけでこんな顔をするなんて――。どんなご用事なの……?)
マリアは不安が一層増幅するのを感じながらも、父の呼び出しに応えるべく、立ち上がった。
2025/09/12 00:00:00
作品一覧
改稿版更新中
玉座の憧憬 本編:小説・男女恋愛
初稿更新終了
ツンデレ王子様の結婚事情:漫画(字コンテ)・BL
玉座の憧憬 アレイスト×セレンIF:小説・男女恋愛・バッドエンド・R18・本編読了後推奨
玉座の憧憬 ロウェル×アレイストIF:小説・BL・R18・本編読了後推奨
玉座の憧憬 アレイスト×セレンIF:小説・男女恋愛・バッドエンド・R18・本編読了後推奨
玉座の憧憬 ロウェル×アレイストIF:小説・BL・R18・本編読了後推奨
初稿更新中
改稿版完結
A:「じゃあ、部屋で刺繍でもしているわ」
//背景:主人公部屋・夕
マリアはオリヴィエの用意してくれた刺繍に取りかかった。
感嘆されるほど上手くもなければ、何を刺しているか分からないほど下手でもない、いたって普通の腕前だが、ぼんやり考え事をするには、丁度いい。
季節に合わせて、落ち葉でも刺そうかと、橙色の糸を手に取ったところで、エゼルが茶器を持って、部屋に入ってきた。
マリア「ありがとう、エゼル。昼間はほとんど残してしまってごめんなさいね」
エゼル「いえ。お嬢様の責任ではございませんので」
それきりエゼルは黙ってしまったが、今はその沈黙が妙に心地よかった。
茶を注ぐ音が止まり、そっとカップが傍に置かれる。
マリアは、退室しようとするエゼルの背中に声をかけた。
マリア「ねぇ、エゼル」
エゼル「はい」
彼が足を止めて振り返る。
マリア「私、王太子殿下と婚約したの」
エゼル「はい」
マリア「知ってた?」
エゼル「はい」
坦々とした返答に、マリアはどこか落ち着かないものを感じて、問いを重ねた。
マリア「皆、知っていたのかしら」
エゼル「『皆』が、どの範囲を示すのかは分かりませんが、おそらく」
マリア「……お父様も、以前から知っていらっしゃったのよね」
エゼル「家長である旦那様がご存じないとは考えられかねます」
マリア「そうよね……」
マリア「どうして、教えてくれなかったのだと思う……?」
エゼル「…………」
エゼル
「旦那様のご配慮かと。確定事項でないことをお耳に入れて、お嬢様を混乱させたくなかったのでは、と愚考いたします。旦那様は……、お嬢様のことを、大切に思っていらっしゃいますから
分岐2-1
A:「そうだと……、嬉しいわね」
B:「……そうかしら」
分岐2-1-A
A:「そうだと……、嬉しいわね」
エゼル「きっと、そうです」
マリア(今、エゼルが笑った……?)
//エゼル:通常
マリア(気のせい、かしら……?)
珍しい彼の表情に、呆然としていたマリアは、自分が針を持っていたことを忘れてしまっていた。
マリア「――――いっ!」
思い出したのは、指先に鋭い痛みが走った後だ。
エゼル「お嬢様!」
マリア「え……」
//スチル:執事ルート分岐前(血の滲んだマリアの指先に、ハンカチを当てるエゼル)
マリア「あ、あの、エゼル……」
彼があんな声を出したのを聞いたのは、初めてかもしれない。指先にぷくりと浮かぶ血よりも、そちらの方に驚いて、固まってしまう。
エゼル「失礼いたしました。すぐに手当てを」
エゼルはサッと立ち上がると、手当ての道具を持ってくると言って、部屋を立ち去った。
マリア「……今日は、珍しいことばかりだわ」
不思議なことをあるものだと、マリアはエゼルが戻ってくるまでの間、ぼんやりと彼が出て行った扉を見つめていた。
分岐2-1-B
B:「……そうかしら」
マリア「王太子妃なんていう荷の重いもの、私が嫌がるとでも思ったのではないかしら……」
エゼル「…………、質問は以上でしょうか」
マリア「え、ええ。ごめんなさい。呼び止めてしまって」
エゼル「いえ。それでは、失礼いたします」
立ち去っていくエゼルを見送り、マリアは小さく溜息をついた。
マリア「もう少し、打ち解けてほしい……。そう思うのは、我儘なのかしら」
マリアは一人になった部屋で、刺繍を再開した。