2章貴女への誓い

 「……っ!?」

 手紙を読み終わったネリーは、慌てて部屋を飛び出した。

「レ、レイブス……!」

 ようやく見つけた後ろ姿に声をかけると、振り返った彼は目を丸くする。

「奥様、そのような格好で……」

 彼の言葉で、自分が今薄い夜着一枚しか身につけていないことを思い出した。かっと頬に熱が集まり、レイブスに背を向ける。いくら慌てていたからといって、あまりにも情けない姿だと思った。

 だが、握りしめたままの手紙を見て、今はそれどころではなかったと首を振る。

「そ、んなことより。ロアン……、旦那様は?」

 振り返って、ネリーは手紙の内容を伝えた。しかし、彼は首を横に振る。

「申し訳ございません、奥様。旦那様はもう既に出立しておいでです」

「――そうですか……」

 初日から夫の見送りも出来なかったなんて。

 ネリーはあまりの不甲斐なさで、俯いた顔を上げることが出来なかった。

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