四章逃亡

 城の裏手にある通用門を目指し、ロウェルは走っていた。

 手を握りしめたままのセレンは、奇妙なほど抵抗もなく付いてきている。だが、その手は握り返されているわけでもない。ロウェルが彼女を解放してしまえば、そのまま立ち止まってしまいそうなほどに目は空虚だった。

 追手はどの程度来るだろうか。

 自分はこんな抜け殻のようなセレンを、無事に救い出せるのか。

「っ……」

 アレイストの叫びが、未だに消えてくれない。

 気を抜けばすぐにでも引き返して、「俺はお前のために生きなければならないのに」と、懺悔しに戻りたい衝動に駆られた。

 だが、今は後悔などしている場合ではない。

「セレン」

 裏庭の門を潜りながら呼びかけると、彼女は緩慢な動作で顔を上げた。

「ひとまず、王都を脱出する。付いてきてくれるか?」

「…………好きにしたら」

 やる気も、覇気もない返答に、喉を締められたような心地がした。

 俺が、もっと早く決断できていれば――。

「――……なら、好きにさせてもらう。行こう」

 セレンの反応は薄い。通用門付近に隠していた馬の背に、促されるまま彼女は跨る。その後ろにロウェルが乗っても、興味すら無いかのように何も言わない。

 馬を出発させる時も、彼女は無反応だった。

 それがこれほど胸を突くなんて――。

 ロウェルはギリと歯を食いしばると、王宮を後にした。




 全てが曖昧に通り過ぎていく。

 セレンは、馬上の景色を見るともなく視界に映していた。

 憤り、絶望、後悔――。それらはどこか遠くへ行ったらしく、胸に浮かんでくることはない。

 疲れてしまった。

 ただただ、大きな虚脱感が伸し掛かっている。

 時間すらも歪んでしまったのか、少し目を閉じただけのつもりだったのに、次に目蓋を開いた頃には随分と時が経っていた。空は薄暗く、周囲は見知らぬ山中。眼前には、放置されて久しいらしい山小屋がそこにある。

「セレン、今晩はここで夜を明かす。明日は早く出るから、出来るだけ身体を休めておいてくれ」

「……そう」

 ロウェルの言葉に頷きだけ返して、セレンは小屋の中へと入った。

 彼が手慣れた様子で埃を払い、寝床を用意する。

 ぼんやりとその様に視線を向けていると、作業を済ませたロウェルが手を引いて、薄い毛布を肩に掛けてきた。

 指示された場所に身を横たえて、じっと息を詰める。

 窓辺に座った彼は、厳しい顔で外を見つめていた。

 この男の目的は何なのだろう。

 もう信用なんてできない。でも――。

「あなたは、アレイストの何」

 セレンは囁くような声で呟いた。

 驚いた表情でこちらを向いたロウェルは、悲しい――いや、どこか諦めの混ざった苦笑を浮かべる。

「……さあ、何だったんだろう。友人……『だった』。昔は」

 彼は遠くを透かし見るような目をして、外へと視線を戻した。

 その目は今もアレイストの方へ向いているのだろうか――。

 そんなことを思いながらも、セレンはそれ以上問いかける気にはならず口を噤んだ。




 セレンの問いかけでロウェルは、アレイストとたしかに「友人」であった過去を思い出していた。

 出逢いは彼がまだふにゃふにゃの赤ん坊だった時分のこと。「将来仕えるべき主君」なのだと引き合わされ、主従として育った。しかしあの頃の自分たちは、「兄弟」と言った方が近い関係性だったように思う。

 自身を慕ってくれる三歳年下の男の子。身分の上下はあったが、そんなことは関係ないと考えていた――、あの日までは。

 当時、年相応にやんちゃだったロウェルは、少々危険な遊びに弟分を連れ出すことも少なくはなかった。「あの日」も、そんなよくある一日――のはずだったのだ。

 アレイストの暮らしていた離宮の裏手にある森は、二人にとっていつもの遊び場だった。その日も護衛を撒いて、ほんの冒険心で普段よりも少々深い場所へ向かったのだ。

 初めて足を踏み入れる見慣れぬ景色に好奇心が刺激されて、繋いだ手の力が緩み、離れていることに気付かなかった。

 そして、そのまま本当に一瞬だけ、彼から視線を外した。

 悲鳴が聞こえたのは、すぐ後のこと。振り返って見えたのは崖下に転落していくアレイストの姿だった。

 それからはどうしたのだったか、ロウェルはよく覚えていない。

 大人を呼びに行ったのか、それとも中々戻ってこない自分たちを発見してもらったのか。

 ともかく気が付いた時には、アレイストは医者の治療を受けており、命には別状ないことを知った。

 だが――、落ち方が悪かったのだろう。折れた足の骨は神経を傷付け、彼の左足には麻痺が残った。

 ロウェルが八歳、アレイストが五歳の頃のことだった。


 ふ、とロウェルの意識が現実へと戻ってくる。

 ちらりと背後に視線を向けると、セレンはやはり疲れが溜まっていたのか、眉間に深い皺を刻みながらも眠ってしまっていた。

 ロウェルは一つ息を吐く。

 辺りに気配はなく、とても静かな夜だ。

 だからこそ、色々な思いが押し寄せてきて、思考を支配する。

 アレイストは今、どうしているだろうか。

 彼の傍を離れるという決断を自分が下す日が来るなんて、ほんの少し前まで想像もしていなかった。

 後悔が無い、とは言い切れない。

 負わせてしまったものの代償を、支払いきれてなどいないからだ。

 十七年前のあの日、目覚めたアレイストは一言もロウェルを責めなかった。

 周囲の大人たちも、しばし昏睡状態だった彼の容態の方が心配だったのだろう。誰も、責任を追求しなかった。

 ロウェルは謝罪をする機会さえ、もらえなかったのだ。

「……いっそ、あの時お前が…泣いて俺を責めていたら、違ったのかな」

 もちろん、罪悪感には苛まれたはずだ。でも、彼の気持ちを受け止めて、自分も相手が飽きるほどに謝って、そして――、今も友人のようにいられたのではないだろうか。

 そんな風に夢想する時がある。

 けれど、もう自分たちは「友人」にはなり得ない。「主従」というには、絡まり合い過ぎた歪な関係だと思う。

 控えめで優しい王太子殿下。彼は、ロウェルの前でだけは激情にかられ、八つ当たりをして、苦しげに顔を歪めて、こちらの心を幾度となく試した。

 今回のセレンへの接触も、おそらくその一環だった。

 ――お前は私のために、一人の女を死地に追いやり見殺せるのか。

 そう、問いかけられていたのだろう。

 できる、と……思った。思っていた。

 だが、真にアレイストのことを考えるならば、実行するより前に止めるべきだったのだ。

 そのことに見て見ぬ振りをして、尽くすべき唯一に報いたかった――。

「……アレイスト」

 だが、セレンと――自分と同じかそれ以上に他者に縛られた彼女と出逢い、もうその歪さに目を背けていることができなくなったのだ。

 ロウェルはふらりと立ち上がって、セレンの傍らに膝をついた。

 険しい顔をしているのに、無防備に眠る女――。

「セレン、俺は……」

 彼女の首に手を添える。ひたりと肌が触れて、首筋の血管から彼女の鼓動を感じた。

「っ……」

 パッとその手を離して唇を噛む。

 簡単に縊り殺せてしまいそうなほど、その喉は細い。

 同じ寂しさを共有できるセレンに、惹かれる気持ちがあるのは自覚していた。

 けれど、アレイストの命がただ「彼女を殺せ」というものだったのならば。

 実行してしまえていただろうという自分が、今もなお存在する――。

 そのことに、ロウェルは気付いている。




 アレイストは今にも雨が降り出しそうな曇天を、執務室の窓から見ていた。

 セレンティーネとロウェルが姿を消してから数日。二人が夜を明かしたらしい王都近くの山小屋は見つかったが、その後の足取りはまだ掴めていない。

 彼らが次に行くとすればどこだ。

 目の前に広がる沈んだ景色を視界に収めながら、思考を巡らせる。

 一番はじめに思いつくのは国外逃亡だが――。アレイストは眉根を寄せた。

 あのロウェルが、身を寄せる当てもない場所を安易に選ぶだろうか。

 であれば、次に怪しいのはアキュイラだが、ここも可能性としては低いはずだ。反逆の疑いがかかっている……と彼らが判断しているであろう女を、匿うほどの信頼関係がこの短い間に築けていたとは考えられない。

 ならば残るは……。

「――失礼いたします!」

 扉を開けて入ってきた兵の声に、アレイストはゆっくりと振り返った。

「ロムーリャ公国に接する街にて、セレンティーネ殿下と殿下を連れた男を発見いたしました」

 アレイストは彼の報告に目を眇める。

「そうですか……。それで、姉上とその男は?」

「申し訳ありません。直前で邪魔が入り、殿下の保護及び誘拐犯の捕獲はままなりませんでした」

 アレイストはきゅっと口を引き結んで押し黙った。

 やはり、公国へ向かったか――。

 おそらくもう既に入国は果たしている頃だろう。そう当たりをつけて、アレイストは「姉を心から心配する弟」の振りで溜息をついた。

「そう、なんですね。……いえ、足取りが分かっただけでもよしとしましょう。引き続き捜索を」

「はっ!」

 彼はビシリと敬礼をして、部屋を出ていった。

 そう。今、セレンティーネは「誘拐された」ことになっている。

 ロウェルが彼女を連れ出した直後、現れた国王がそういうことにしてしまったのだ。愛する女の娘を守るために。

 剣を向けられ殺されそうになったにもかかわらず、それでもかばうなど――、愚の骨頂としか思えない。

 だが、国王の言葉を自分が取り消せるはずもなく、今はアレイストが「連れ去られた可哀想なセレンティーネ王女」を探すこととなっていた。

 愛娘から命を狙われた心労があったのか、国王が床に伏してしまったからだ。

 倒れるならば、もっと早く倒れればよかったものを。ベッドの上で弱々しく横たわる男に、この数日で何度そんな恨み言をぶつけたくなったか分からない。

 本当に腹立たしくてならなかった。

 憤りを溜息に乗せて吐き出すと、アレイストは国王の眠る寝室へと向かう。

「失礼いたします」

 陛下、と声を掛けると、男の目蓋がうっすらと開かれた。

「……アレイストか」

「はい。先ほど、姉上の行方に関して情報が入りまして」

 そう囁くと、彼はハッと目を見開いて起き上がろうとする。だが急に動いたせいか、上体を折って激しく咳き込んだ。

 アレイストは、それを冷たく見下ろしながら続ける。

「おそらく二人は公国へ入ったと思われます。ですので、私に公国行きのご許可を賜りたく」

 肩で息をしながら男が顔を上げた。

「……自ら行くのか」

「ええ。『姉の迎えに弟が出向く』……、何かおかしなことでも?」

「…………いや」

 沈黙してしまった彼は、長いこと黙考した末に小さく頷いた。

「許可しよう」

「ありがとうございます、陛下」

 にっこり微笑んで口先だけで感謝を述べると、アレイストはそのまま男に背を向ける。

「――アレイスト」

 不意に名を呼ばれて、扉に伸ばそうとしていた手を止めた。

「アレイスト……、どうか、セレンティーネを……ゆるしてやってくれないか」

 男の言葉に思わず、杖の柄をきつく握り締める。

 ゆるす? 一体何を? 全て持っているのに、気付きもしない愚かさを? それとも、私から何もかもを奪っていく厚顔さをか?

 アレイストは振り返って、微笑みを浮かべた。

 当然じゃないかとも、意味が分からないとも、取れる笑みを。

「失礼いたします」

 それだけ言って、居室を後にする。

「っ――」

 来た道を戻り、自分の部屋へ入って扉の鍵を締めた。

 そのまま崩れ落ちるように座り込んで、床を殴りつける。

「くそっ……」

 拳は絨毯に沈んで、何の慰めにもならなかった。




 アレイストが父王と会っていた頃、セレンたちは彼の予想通りロムーリャ公国にいた。

 セレンは静かな離宮の一室で眠るロウェルをじっと見つめる。

 どうしてこんなことに。

 そんな風に思考を巡らせながら彼の手を握って、そこにまだぬくもりがあることにほっとする。

「……ロウェル、わたしは……これからどうすればいい?」

 もう世界は遠く感じない。

 父に剣を向けた事実に指先が震え、あの時の自分はどこかおかしかったのも分かっていた。

 それと同時に、まだ生き長らえているのだから王位を狙わねばならないと、母の声も響いている。

 だが自身は、王の子ではなかった。

 ならば玉座など、欲する資格すらない。

 ……でも、じゃあ、わたしはこれからどうやって生きていけばいいんだろう。

 いっそ、あの場でアレイストに殺されていれば。

 そうすれば、こうして彼が傷付くこともなかったのに。

 セレンはロウェルの手を、ぎゅっと強く握った。

 時間はほんの少し前に遡る――。




 山小屋を後にしたセレンとロウェルは、ロムーリャ公国に接する街まで到着していた。

 どうにか、誰にも見つからぬままではあった。だがこの時のセレンは、彼がどこへ向かうつもりなのかも知らず、知りたいとすら思わず、ただ手を引かれるままに歩いていただけだった。

「セレン、ここで人と合流する。その後、国を出る。いいか?」

 旅人を装い、汚れた外套で頭まで隠したまま、二人は繁華街を進んでいた。足を止めないまま発せられた問いに、セレンは緩慢に顔を上げて――すぐに俯いた。

「どうでもいい」

「……わかった」

 ロウェルの微かに落胆するような声も、どこか遠く聞こえる。

 本当に、もう全てがどうでもよかった。

 仮に今ここで彼が手を離し、自身を置いていったとしても、そのまま立ち止まり続けるであろうほどに。

 考えることは山のようにあるはずだった。

 ここはどこ? これからどこへ行こうとしている? ロウェルは自分をどうするつもり? どうして助けた? どうして――、アレイストではなくわたしの手を取ったの。

 だが、どの問いももやもやと形を成す前に、霧散して消えていく。頭の動きが鈍くて、世界も遠い。

 本当に、全てがどうでもいいものに思えた。

 その時、身体にトンと軽い衝撃を覚えて、歩調が乱れる。

 視線を下方へ向けた。子供だ。

「ごめんなさい!」

 そう言って少年は走り去っていくが、今のセレンはそんな細やかな接触すら受け流せる状態ではなかった。

 足に力が入らず、ふらりと後ろへ倒れそうになる。

 ロウェルが手を引いてくれなければ、そのまま転倒していただろう。

 だが、それも良くなかった。

 後ろへ倒れかかっていた身体が急に引っ張られる。その動きで、頭を隠していたフードがはらりと落ちて、銀色の髪が舞った。

「あ……」

 平民には珍しいという輝く銀髪に、通行人たちが振り返って、そして――

「――いたぞ!」

 追手の目も引いてしまった。

「セレン、走るぞ」

 ロウェルが手を強く握り、走りはじめる。セレンは足がもつれて転びそうになりながらも、どうにか彼についていった。殆ど「引きずられている」という方が正しかったかもしれないが。

 騒ぎが大きくなって、追手の数も増える。ロウェルも彼らを撒こうとしているようだったが、どうにも上手くいかず、最終的には路地裏へと追い詰められていた。

 相手は三人。ロウェルはセレンを自身の背後に押しやると、短剣を抜く。

 彼の背中を見ているのが、初めてこの男と出逢った時の情景と、妙に重なった。

 ロウェルと追手たちは打ち合いの最中に問答をしていたが、セレンの耳には入ってこない。

 ただ、何か――酷い耳鳴りのような、目眩のようなものがしていた。

 キンッと高い金属音がして、セレンは顔を上げる。

 目の焦点が次第に合ってきていた。

 戦っている。三人も、相手に。碌な武器も無しに。

 ロウェルはどうにか、一人は昏倒させたらしい。だが、まだ多勢に無勢だ。息も上がっている。

 しかしそれでも、彼は引こうとしなかった。

 何度か応酬が続き、また一人が倒れる。だがもう一人――、その男が剣を構えた。

 セレンは息を飲む。

 頭にかかっていた靄が晴れていく。

 それと同時に、ロウェルの脇腹を刃が通ってゆくのが見えた。

 赤い血が飛ぶのが、嫌になるほど鮮やかに映る。

「――――ロウェル!!」

 悲鳴のようなセレンの叫びが響いた。

 その声が予想外だったのか、追手の男まで虚を突かれたようにこちらを見る。

 そんな一瞬の隙をロウェルは見逃さず、相手の鳩尾に拳を叩き込んで気絶させた。

「……セレン」

 失神した男を地面へ放ったロウェルは、呆然とこちらを見る。腹からはまだ血が流れていた。

 セレンは彼に駆け寄って、その身体を抱き締める。

「どした? 血に驚いたか?」

「そ、んなんじゃない……!」

 ロウェルの場違いなほど明るい軽口にハッとして、セレンは外套を脱ぎ、その下の謁見時に着ていたままだった上着も脱いだ。何故かボタンが一つなくなっていたが、今はそれどころではない。

 そして、その更に下に着ているシャツへ手をかけたところで、ロウェルが目に見えて狼狽する。

「ちょ、ちょちょ、待て待て待て! 何をする気だ!」

「何って、止血しないと」

 比較的清潔な布が今これしかないのだから仕方がない。

 答えながらボタンを外そうとするが、ロウェルがその手をがしりと掴んで止めた。

「掠り傷! そこまでする必要ない!」

「どこが『掠り傷』!? まだ血が出てるのに!」

「もう止まるって!」

「だとしても! それに、下着は着てるから問題ない」

「問題あ――」

「――はい、そこまで」

 パンと手を叩く音と共に割って入った声に、セレンはビクッと飛び上がった。

 声のした方向を見ると、いつの間にかそこに男が立っている。

 その男を睨みつけ誰何しようとするセレンを制したのは、ロウェルだった。

「遅かったな」

「無茶言わないでくださいよ。突然連絡が来たかと思えば、『誰にも悟られず、国境を越えさせろ』だなんて」

 どうやら二人は知り合いらしいと察するが、つい不安になってセレンはロウェルの腕をくいと引いた。

「えっと、こいつだよ。合流するって言ってた相手。俺の協力者で、名前はレオ。それで、えーっと……。やっぱり、一度会っただけじゃ覚えてないか?」

 ロウェルの言葉に首を捻りつつ、じっと男――レオを観察する。淡い金髪に、端正な顔立ちをしていた。

 たしかに、何か既視感がある。あれはどこで――

「――あ」

「思い出していただけたようで光栄です、殿下」

 そう言って頭を下げた彼は、たしかにあの日――ロウェルと初めて出会った日に彼と一緒にいた金髪の男だった。

「では行きましょうか、お二人とも。ロムーリャ公国へ」


 そうして、セレンはロウェルと共に公国へ向かったのだった。

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