幕間

「見ましたよ。さすがは――のご子息、第一学年からあの出来とは」

「いいえ! ペアを組んだ相手が良かったというのが大きいですよ」


 その通り。やっとこれで、僕を認めてもらえる。


 口に出す言葉とは全く逆の本心を押し隠し、心の中でほくそ笑む。

 成果発表当日となるこの日をようやく迎えられた。

 完成した魔導具は、水と土の魔法を使った自動で動く馬になるもの。普段はコンパクトな作りで、起動させれば簡易の移動手段になる代物だった。

 稼働時間が短いのが欠点だが、良い出来だと多くの人から評価を受け、第一学年の最優秀作に選ばれてもおかしくないとかなり満足していた。

 ペアの少年は、殆どこちらの言いなりで、こちらの指示通りのことしかしていない。つまりは、最優秀の栄光は実質自分のものだということだ。


 これで、父も母も満足してくれる。


 唯一不安があった問題は、自分で処理した。

 もう何も出来ないはず。


 ……そういえば、彼らの姿を見ない。


 彼らと仲の良い、自身のペアの男の傍にもその姿はない様子だ。


 これは、どうしようもなくて欠席したと見るのが妥当だな。


 少年はバラバラになった魔導具を思い出し、ニヤリと嗤った。

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