4章新たな訪問者
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「……ロアン、っ」
暗くなってきた部屋の中で、ネリーは明かりもつけずに、ロアンからの手紙を読んでいた。
破かれた手紙を繋ぎ合わせると、まるでこちらの状況を知っているかのような労わりの言葉に涙が込み上げる。目尻に滲んだそれが零れないように手でこするが、その指の隙間から落ちていく。
返事を書こうと思ったが、すぐにはペンをとれない。
今書きはじめたならば、この辛さも悲しさも何もかもを吐露してしまいそうだった。
「ロアン……」
どうして彼が傍にいてくれないんだろう。
ここまで強く、そう思ったのははじめてだった。
「ロアン…、ろあん……、わたし――」
ネリーはひとしきり泣いた後、ようやく返事を書きはじめた。
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